The 59th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

複雑心疾患

一般口演(I-OR03)
複雑心疾患

Thu. Jul 6, 2023 11:10 AM - 12:20 PM 第6会場 (G301)

座長:関 満(自治医科大学 小児科), 座長:伊吹 圭二郎(富山大学小児科)

[I-OR03-01] 大動脈-左室トンネル(Aorto-left ventricular tunnel)の外科治療と遠隔期の問題点

原 真祐子1, 馬場 健児1, 近藤 麻衣子1, 栗田 佳彦1, 重光 祐輔1, 福嶋 遥佑1, 大月 審一1, 笠原 真悟2 (1.岡山大学病院 小児科, 2.岡山大学病院 心臓血管外科)

Keywords:大動脈-左室トンネル, Aorto-left ventricular tunnel, 術後合併症

【背景】大動脈-左室トンネル(Aorto-left ventricular tunnel, ALVT) は非常に稀な先天性心疾患である。重症例では新生児期から左室容量負荷によるうっ血性心不全を呈し、診断されれば早期の外科的治療が望ましいとされているが、適切な手術時期や長期的な合併症については症例数が少ないこともありエビデンスに乏しい。【目的】ALVTの適切な外科治療とフォローアップの注意点を検討する。【方法】1990~2022年に当院で手術したALVT症例について、診断、臨床症状、手術、術後合併症などを診療録より後方視的に調査した。【結果】症例は5例(男2、女3)。診断は出生当日~1歳3か月(中央値:日齢23)で、4例は心雑音を契機に心エコーで、1例は胎児エコーで重症大動脈弁逆流を指摘されており、出生後の心エコーでALVTと診断された。手術時期は生後4日~4歳3か月(中央値:月齢8)で、診断から手術までの期間は4日~3年であった。ALVTを介する逆流量はmild~severeと症例差があったが、術前のLVEDD 113~200% of normalと全例で拡大していた。1例は大動脈弁の異形成を伴っていた。大動脈側のトンネル開口部は右冠動脈洞2例、無冠動脈洞2例、左冠動脈洞1例でいずれも冠動脈との交通はなかった。閉鎖方法はパッチ閉鎖4例、直接閉鎖1例で、術後のresidual leakはなく、術後早期から遠隔期に4例でmild~moderateの大動脈弁逆流を認めた。【考察】ALVTの適切な手術時期については議論があるが、当院では合併奇形がなく、ALVTの逆流量がmild~moderate(LVEDD 110~140% of normal程度)の場合は体格が大きくなるまで待機して手術を行っており、術後の左心機能に差はなかった。術後合併症は経時的に大動脈弁逆流が増加する例が多く、遠隔期のフォローアップが重要と考えられた。【結論】ALVTでは術後早期の成績は良好な例が多いが、遠隔期の大動脈弁逆流が問題となる。