[I-OR03-04] 孤立性左肺動脈を合併したファロー四徴:早期発見、早期介入の重要性
キーワード:孤立性片側肺動脈, ファロー四徴症, 肺血管床
【背景】孤立性片側肺動脈は,主肺動脈との連続性がなく患側の血流は主に動脈管に依存し,動脈管閉塞に伴い血流供給を失うと片側肺動脈欠損となり得る. 患側血流消失に伴う症状に乏しいため診断が遅れ患側血管床を失うリスクがある.早期発見,早期介入により患側肺還流を温存し良好な予後を得た例について報告する.【症例】GA41w1d, BW 3238gで出生. 日齢3にチアノーゼ, 心雑音を契機に前医でTOFと診断. SpO2 82%と低いため当日転院を指示したところUCGでTOF+左肺動/静脈血流欠損を確認. 造影CTでMPAと同径のRPAを認めたがLPAは描出されず.左INNA起始部に嚢状の盲端を認め, 動脈管閉鎖による左肺血流途絶を考えPGE1 100nまで漸増投与.動脈管は再開通しなかったが,日齢4の盲端カテーテル造影で狭小な管腔を経て正常左肺内分枝が造影され,日齢6に左BTS術施行. 術後,左肺の高血管抵抗が疑われBosentan開始. 月齢9の心臓カテーテル検査でPAI=266,左右ともmPAP=11mmHg, LVEDV=36.5ml/m2. 1歳0ヶ月時にLPA-MPA直接吻合+RVOT形成,VSD閉鎖,BTS切離. 術後のカテーテル検査で両肺血管床の発達良好, 左/右mPAP=15/13mmHgでBosentan終了とした. 【考察】もともと肺血管床の少ない疾患であるTOFに本疾患を合併し,動脈管閉鎖から肺血管床を失うとその影響は多大で,ICR不能となったり,ICR後の肺高血圧を残存したりと予後を大きく左右する.肺血管床温存には早期に診断し, BTS術もしくは動脈管stentで患側血流を維持することが重要である.本症例は出生後早期にチアノーゼが強いことから肺血流量がかなり少ないと考え入念にUCGを行ったこと,動脈管の存在を考えて盲端での造影を行ったこと,肺血管拡張薬を早期から投与したことが良好な予後に繋がったと考えられる.