[I-OR03-06] フォンタン手術非適応と判断された後、長期生存した症例
Keywords:フォンタン手術, 手術非適応, 長期生存
【はじめに】近年、手術成績の向上や肺血管拡張薬の使用などにより、フォンタン手術に到達できる例が多くなっている。何らかの理由でフォンタン手術に到達できなくても、中に長期生存する例がある。【対象と方法】2000年以降出生例で、フォンタン手術適応疾患でありながらフォンタン手術非適応の判断で5年以上生存した症例。診療録から後方視的に患者情報を検討した。【結果】症例は6例で、性別は男5例、女1例。経過観察期間は6~16年(中央値13年)。心内診断(主病名)は、単心室3例、左心低形成症候群2例、房室中隔欠損1例。無脾症候群が2例、多脾症候群、ダウン症候群がそれぞれ1例ずつあった。フォンタン手術非適応と判断された主な理由(重複あり)は、肺動脈低形成、肺静脈狭窄がそれぞれ2例、心室収縮低下、肺高血圧、主要肺体側副血管、上気道狭窄が1例ずつであった。3例でグレン手術まで到達していた。グレン手術未到達例の肺血流は、順行性血流が2例、主要肺体側副血管1例であった。シャント手術はグレン術後を含め4例で行われていたが、3例ではその後に閉塞が確認された。全例で在宅酸素療法が導入されていた。就学は特別支援学校と普通学校3例ずつで、最終の学校生活管理区分はBが1例、Cが2例、Dが3例であった。合併症として知的障害が3例、てんかんが1例に認められ、知的障害の3例が特別支援学校に通学していた。経過観察中に脳梗塞2例、脳出血1例、脳膿瘍1例で発症した。予後は2例が死亡し、死亡時年齢はいずれも16歳で、死因はそれぞれ心不全、肺出血であった。【まとめ】条件が良くない場合、リスクを冒してフォンタンに進むかどうかは迷うところである。フォンタン手術非適応の長期生存例は、グレン手術後もしくは肺動脈の順行性血流の存在する症例が多かった。何らかの合併症は多く、QOLを維持するための工夫が必要である。