[I-OR04-03] 初回Orthodromic AVRTが原因と考えられた心室細動(VF)による心肺停止(CPA)蘇生後のWPW症候群の小児症例
キーワード:WPW症候群, orthodromic AVRT, 突然死予防
【背景】VFによるCPA蘇生後にorthodromic AVRTの初回発作が原因と考えられた症例を経験した。【症例】14歳男子。心疾患や意識消失の既往なく、学校心臓検診での異常指摘なし。血縁家族に心疾患や突然死なし。体育授業の1500m走中に突然意識消失した。速やかに自動体外式除細動器が装着され、VFに対し除細動1回で心拍再開し当院に救急搬送された。24時間の低体温療法後に神経学的異常を認めず、入院後精査で器質的心疾患はなかった。第2病日、洞調律時心電図で一過性にデルタ波を認め中隔副伝導路が疑われたため、第7病日に電気生理学的検査(EPS)を行った。房室伝導はfast pathway、室房伝導は中隔副伝導路を介したorthodromic AVRT が誘発され、室房伝導は210msと不応期が短くVFの原因となりうると考えられた。Ensite NAVxによる頻拍中のactivation mapでは、中中隔に室房伝導の心房再早期興奮を認めたが、3D-mapping中にbumpと考えられる副伝導路室房伝導の消失を認め、術中は回復しなかった。Bump部位での通電は房室伝導障害の可能性を考慮し焼灼は行わず終了し、ビソプロロール1.25 mg内服の上、学校管理E禁とした。以後、動悸および意識消失発作はない。【考察】本症例では発作時に心房細動を認めず、EPSの結果からも副伝導路房室伝導を介したpseudo VTではなく、室房伝導が良好なorthodromic AVRTによってVFを来したと推定された。小児では成人と比較し房室伝導は良好で運動頻度も高いことから、高頻拍の発作により無症候性WPW症候群でもVFが惹起され突然死に至る可能性がある。WPW症候群における小児の特異性を再認識し、学校心臓検診の抽出感度改善に加え、本邦におけるEPSの位置付けについて再検討されることが、学校突然死予防につながると考える。