[I-OR05-01] 小児および成人先天性領域における心臓電気デバイス治療の選択と手術手技における工夫
キーワード:植込み型除細動器ICD, 心臓再同期療法CRT, 心臓電気デバイス治療
【背景】先天性心疾患での除細動器(ICD)埋め込みや心臓再同期療法(CRT)はその解剖学的制約からデバイスサイズやアプローチまた同時開胸手術など外科手技でも工夫を要することは少なくない。小児あるいは成人先天性心室細動(VF)蘇生後心外膜リードでのICD留置を要した3症例を提示し、手術手技の工夫およびデバイス選択や適応について議論する。【症例1】正常解剖の先天性房室ブロックの6歳女児。VF蘇生後および蘇生後脳症、蘇生後心筋症を有し体格を加味して胸骨正中開胸、心膜横洞を通して右側左房天井にICDリード、心房心室の心外膜リードを縫着し自宅退院。【症例2】完全大血管転位症に心房内血流転換を施行された体心室右心不全の49歳男性。VF蘇生後、体心室非同期、三尖弁閉鎖不全に対してCRT-D植込み・三尖弁形成術を施行し、心機能改善し自宅退院。【症例3】右室型単心室(DORV, hypoLV, bil.SVC)でDKSおよび心外導管型Fontan施行後洞機能不全でPM留置後の16歳男児。運動時上室頻拍を契機としたVF蘇生後で、人工心肺下に心外表面から右房三尖弁輪を冷凍焼灼し、DKS右側左房天井にICDリード縫着し、現在病棟でリハビリ中。【考察】ICDはPMと比してデバイスサイズが大きく小児例では開胸でリード先端とデバイス本体とで心臓全体を挟み込むよう工夫を要する。Fontanや心房内血流転換後の大血管転位症では経静脈でのICD留置は困難であり、再開胸を前提に追加アブレーション等を検討する余地はある。心外膜のCRTデバイス留置では心室後面まで剥離を要するため強固な癒着例では人工心肺を使用すると安全な場合もある。【結論】解剖学的制約から経静脈的埋込が困難な先天心修復後では必要に応じて人工心肺補助を行い、CRTや不整脈治療介入、房室弁形成等の同時手術を加味した戦略や工夫の余地がありうる。