[I-OR05-05] 心外膜電極リードの中長期耐久性
キーワード:先天性心疾患, ペースメーカー, リード断裂
【背景】小児のペースメーカー植え込み(PMI)では、体格が小さいなどの理由で心外膜リードを選択することが多い。心外膜リードは経静脈リードに比べ耐久性が短いとされているが、これまでに小児患者や先天性心疾患患者に対する心外膜リードの長期的な耐久性についての報告は少ない。【目的】小児患者、先天性心疾患患者における心外膜リードの耐久性について明らかにする。【対象】1988年から2022年までに当院にてPMIを行った96例に対し用いられた観察期間中に挿入された電極リード262本。【方法】リード断裂・修復を要した損傷・ペーシング不全をエンドポイントとし、リード挿入日からエンドポイントまでの日数を単極・双極リードそれぞれで算出した。カプランマイヤー法で生存曲線を作成し, Log-rank testで比較した。【結果】原疾患は先天性心疾患(CHD)が83例(86.5%), それ以外(先天性完全房室ブロックなど)が13例(13.5%)であった。CHDでは多脾症候群が16例と最多であった。観察期間中に使用されたリードは、単極が117本、双極が14本で、観察期間の中央値はU群で49.8か月(0.3か月-27.4年), B群で94か月(0.2か月-27.5年)であった。植え込み時の年齢中央値はU群で52.5か月, B群で79.5か月であった。リード破損は53イベントで、単極45、双極8であった。Kaplan-Meier法の生存分析ではB群で有意に破損率が低かった(p<0.001)。5年無破損率はU群で74.3%, B群で96.9%であった。【考察】今回の検討で、心外膜リードでも双極誘導においては、経静脈リードに及ばずとも極めて高い耐久性を示すことが示唆された。双極誘導の心外膜リードは、経静脈リード挿入が可能となる体格までの橋渡しのみならず、さらなる長期的な使用も期待できる可能性がある。