[I-OR06-04] 先天性心疾患に対する外科的姑息術を行ったTrisomy 18の検討
Keywords:Trisomy 18, 外科的姑息術, 在宅医療
【背景】Trisomy 18への心臓手術に関して当院は安定した状態での自宅退院を目指すことを目的に姑息手術を行ってきた.【方法】2000年1月1日から2022年12月31日に当院NICUに入院したTrisomy 18のうち転帰が明らかな24症例(男1例,女23例)に対して疫学調査を行った.【結果】在胎週数,出生体重はそれぞれ中央値39週,2.0kgであった.24/24例で先天性心疾患を認め,胎児期に17/24例で心疾患を指摘されていた.VSD10例,DORV8例に続いてAVSD, TOF, HLHS, PAVSD, PDA, CoA, IAA, PS, ASがみられた.心臓血管手術は12/24例に行われ,術式は肺動脈絞扼術8例,両側肺動脈絞扼術3例,動脈管結紮術5例(重複あり)であった.手術日齢は中央値29であった.手術施行例での挿管日数は中央値8,退院時日齢は中央値88,退院時体重中央値2.7kgであった.術後生存退院は9/12例で,入院中3例の死亡原因は敗血症,心不全,難治性乳び胸であった.退院時にHOTを5/9例で,NPPVを1/9例で導入していた.術後の退院後死亡は5/9例で,死亡月齢中央値16ヶ月,主な死亡原因は心疾患以外であった.術後の生存症例は近年の4/9例(月齢中央値29)であり,そのうち2例でNPPVを含む在宅人工呼吸を使用し,全例で在宅医が導入されていた.1例では1才9ヶ月時に他院で心内修復術が行われた.【考察】心血管姑息手術が行われたうちの大多数が自宅退院できており,手術目的はある程度達成されていた.一方で,退院後に無呼吸や感染症など心疾患以外による死亡が多くみられた.近年では積極的な在宅人工呼吸や在宅医の導入もあり生存期間が長くなってきている.【結語】さらなるエビデンスの確立とともに心内修復術の適応評価についての議論を深める時代であると考える.