第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

自律神経・その他

一般口演(I-OR07)
自律神経・その他

2023年7月6日(木) 16:40 〜 17:30 第6会場 (G301)

座長:白神 一博(東京大学小児科), 座長:麻生 健太郎(聖マリアンナ医科大学小児科)

[I-OR07-03] Coefficient of Variation of R-R intervalは、起立性調節障害の改善に伴って増加する

峰松 伸弥1,2, 田代 克弥1 (1.唐津赤十字病院 小児科, 2.地域医療機能推進機構 九州病院 小児科)

キーワード:起立性調節障害, 自律神経, 心電図

【はじめに】起立性調節障害(以下OD)は、思春期特有の自律神経機能不全であり、頭痛や胃腸症状などその症状は多彩である。診断・治療ガイドラインが提唱されているが、病態は複雑で不明な点も多く治療に難渋する疾患である。自律神経機能の評価は病態把握に有用と考えられ、LF/HFを始め種々の検査が提案されている。しかし、適切かつ簡便な検査はない。Coefficient of Variation of R-R interval(以下CVRR)は、日本で以前より採用されてきた非侵襲的かつ簡便な検査で、主として迷走神経の活動性を反映すると考えられている。しかし、再現性や客観性に欠けるため、近年では糖尿病神経症以外では報告すらない。ODにおける本検査についての報告も、我々が検索した限りでは確認できなかった。今回OD症例のCVRRの変化と臨床所見の関連性、その有用性について検討を試みたので報告する。【対象・方法】2020年から3年間に当院でODの診断のもと診療を行い、治療前後のCVRRを測定した患者15症例。年齢は9~17歳(中央値12歳)で男子6例、女子9例。治療は生活指導などの非薬物療法と共に症状に応じた薬物療法が併用された。これらの症例のCVRR値の変化と患者の病状の変化の関係について検討を行った。【結果】初回CVRR値は2.50~8.50%(中央値5.02)と大きくばらつきがみられた。初回検査から22~628日後(中央値52日後)に2回目の検査が施行され、その値が初回値の10%以上増加した8例中7例で症状の改善をみたのに対して、2回目の値が10%未満の増加もしくは減少を示した7例全て病状は悪化していた。(P<0.05)【考察】ODの改善例ではCVRRの絶対値に関係なく10%以上増加に転じており、迷走神経の活動性の活発化がODの改善に大きく寄与していることが想定された。