[I-OR08-03] ファロー四徴類縁疾患の心室内運動エネルギーによる血行動態評価
Keywords:心室連関, ファロー四徴, 運動エネルギー
【背景】左右心室は心外膜で囲まれ、互いに影響を受け、これを心室連関と呼ぶ。ファロー四徴(TOF)類縁疾患術後患者は心室連関により右室圧・容量負荷が左室に影響を及ぼすが詳細はわかっていない。4D flow MRIは同一周期の心内血流評価が可能で、両心室が互いに及ぼす影響を運動エネルギー(Kinetic Energy: KE)の点から検討した。【目的】TOF類縁疾患術後患者の心室内KEと血行動態の関連を評価する。【方法】2021-2022年に心臓MRI検査を行ったTOF類縁疾患術後患者5名(年齢2-36歳)と健常者3名(年齢22-26歳)を対象にした。4D flow MRIはSiemens 3Tを用い、VENC 150cm/s、Phase 30、Voxel size 2.0×2.0×2.0-2.5×2.5×2.5mm3、呼吸同期下の設定で撮影した。Cvi42で心室内KEを解析した。【結果】健常者3名の平均KEは、収縮期LVKE 38.5μJ/mL、RVKE 41.3μJ/mL、拡張期LVKE 53.7μJ/mL、RVKE 15.4μJ/mLで、拡張期のLVKEは高くRVKEは低かった。TOF類縁疾患術後1-12年の4名は、収縮期LVKE 32.1μJ/mL、RVKE 36.7μJ/mL、拡張期LVKE 47.7μJ/mL、RVKE 23.8μJ/mLで健常者とほぼ同様だった。一方で、術後31年の症例は収縮期LVKE 36.0μJ/mL、RVKE 41.1μJ/mL、拡張期LVKE 52.1μJ/mL、RVKE 41.1μJ/mLで、収縮期KEと拡張期LVKEが同様だったのに対し、拡張期RVKEが明らかに上昇していた。又、収縮期のピークKEの時間差は、LVとRVで53.7msecと他の症例より目立っており(健常者 35.0msec、疾患群4名 20.1msec)、この症例のみRVEDVI 176.1mL/m2と再手術適応で、肺動脈弁逆流はⅢ度だった。【考察】右室拡大により収縮期のピークKEに至るまでの両心室の時間差が大きくなり、肺動脈弁逆流による拡張期RVKEの上昇が強くなることがわかった。【結論】心室のKEは心室連関を探るために重要な因子の可能性があり、特にピーク時間の差や拡張期KEに注意が必要である。今後は多数例での検討により心室連関の影響を明らかにしたい。