[I-OR08-06] 修正大血管転位症における若年期の左房機能低下
キーワード:修正大血管転位症, 体心室右室, 左房機能
【背景】修正大血管転位症患者(ccTGA)における体心室機能は若年期から経年的に低下する。さまざまな心疾患で左房機能は心不全発症の早期指標、予後指標として有用であるが、ccTGAにおける左房機能の経年的変化については知られていない。【目的】孤立性ccTGAにおける左房機能について経年的に評価すること。【対象と方法】孤立性ccTGA群9例と年齢を一致させた正常群34例、前負荷群(中等度以上僧帽弁逆流)26例、後負荷群(経大動脈弁流速>2.5m/s)15例を対象に、10歳代と20歳代の2点において、心エコー図検査から左房機能(max LAVI、min LAVI、LAEF)、体心室右室面積変化率(RVFAC)、三尖弁逆流(TR)を後方視的に評価した。追跡期間内に外科的治療やデバイス治療の介入、出産経験がないことを条件とした。【結果】10歳代評価(14[12-18]歳)では、ccTGA群、正常群、前負荷群、後負荷群の左房機能は、max LAVI(ml/m2):25.4 vs 19.6 vs 23.5 vs 22.4(P=0.076)、min LAVI(ml/m2): 10.7 vs 7.4 vs 9.4 vs 8.5(P=0.006)、LAEF(%):57 vs 64 vs 59 vs 61(P=0.126)であった。ccTGA群のRVFAC:37%、中等度以上TR:4例であった。20歳代評価(24[22-27]歳)では、max LAVI(ml/m2):34.8 vs 21.7 vs 25.0 vs 23.3(P=0.007)、min LAVI(ml/m2):17.1 vs 8.2 vs 9.5 vs 8.1(P<0.001)、LAEF(%):51 vs 62 vs 59 vs 60(P=0.001)であった。その時点でのccTGA群のRVFAC:35%、中等度以上TR:3例であった。ccTGA群は、追跡2点間で有意にLAVIは拡大し(P=0.008、P=0.004)、LAEFは低下したが(P=0.009)、RVFACやTRに変化はなかった。【考察】ccTGAにおいて、心エコー図検査による体心室右室機能評価はその形態から限界があるが、左房機能評価は簡便であり新たな病状評価の指標となる可能性が示唆された。