[I-OR09-03] 成人先天性心疾患患者におけるAdvance Care Planning(ACP)と緩和医療の経験
Keywords:Advance Care Planning, 緩和医療, 成人先天性心疾患
当院での成人先天性心疾患患者(ACHD)に対するAdvance Care Planning(ACP)と緩和医療の経験に関して報告する。【対象症例】現在、当院外来通院中でACPをおこなったACHD5例。【ACPの方法】患者本人に、1)生きがい、楽しみ、2)現在心配なこと、3)これができなくなったら生きている意味がないと思う大切なこと、4)もし大切なことができなくなったときはどう過ごしたいか、5)最終的にはどこまでの治療介入を希望するか、6)意識がなくなったときは誰に判断を委ねたいか、に関して質問し家族との相互理解を深めた。【症例1】38歳女性、NYHA4度。PA, VSD, No-confluent PA, pos palliative Rastelli, residual VSD, RVOTS, RVp=LVp, BNP: 856.3pg/mlACPに基づき、訪問診療医との連携による在宅医療を導入し(緩和医療)、QOLの維持向上が可能となった。【症例2】44歳男性、NYHA3度。Polysplenia, Dextrocardia, DORV, CAVV, post bilateral BTs, moderate CAVVR, BNP: 125.1pg/ml不整脈による入院はあるが、就労可能。【症例3】80歳女性、NYHA3度。cc TGA, moderate TR, Hypertension, DM, BNP: 21.6pg/ml他院で未治療であったが、ACPを行い、内服治療を始め症状は大幅に改善。【症例4】26歳女性、NYHA2度。TOF, post ICR精神的に不安定な要素があったが、ACP後、カウンセリングと内服治療により改善。【症例5】21歳男性、NYHA1度。Critical PS, post one and a half ventricular repairACPにより生活習慣も改まり、治療に積極的に関わるようになった。【結果】チアノーゼが残存している患者(症例 1,2)では根治例に比べて将来への不安が強くACPは以後の治療方針を決める上で特に有効。現在大きな問題のない患者でもACPにより疾患に対する理解が深まり以後の治療に協力的になった。【結論】ACHDではACPを積極的に導入しとそれに基づいた治療方針を確立することが重要。