[I-OR09-05] TOF類縁疾患修復術後の成人期PVRに伴う上行大動脈置換の適応
Keywords:肺動脈弁置換, 大動脈置換, 再手術
【目的】ファロー四徴症および類縁疾患(TOF etc.)修復術後,成人期の肺動脈弁置換(PVR)症例が増加した.同群は大動脈拡大の頻度が高く同時に人工血管置換術を考慮する症例がある.適応は後天性ガイドライン(重症大動脈弁逆流併存例で径≧50mm,二尖弁で≧45mm)を参照したが,若年例が多く余命を考慮し積極的な大動脈置換の推奨が必要である.前方偏位した大動脈は前胸郭と挟み込み,肺動脈弁輪部を圧排し人工弁挿入が困難となる.導管交換症例で遠位吻合部が拡大前方大動脈の背面と癒着する事がある.これらの場合,大動脈置換はPVRの至適スペースと視野を提供する.【対象】TOF etc.修復術後,PVR(導管交換を含む)施行(2017~2021)17例を検討.PVR施行時の平均年齢:31.7歳.同時に上行置換:3例,部分弓部置換:1例を施行.術前の平均大動脈径はvalsalva洞部:31.0mm,上行大動脈:33.6mm.正中切開:平均2.5回目.大動脈置換の適応:症例1;大動脈弁逆流に伴う拡大大動脈(径:47mm,ガイドライン準拠例),症例2;ccTGAの導管交換で遠位吻合部と大動脈背面の癒着,症例3, 4;肺動脈高度圧排症例.【結果】死亡及び合併症なし.大動脈末梢吻合中の循環停止時間:平均49.0分(25℃),人工血管サイズ24mm:1例,28mm:2例,30mm:1例.大動脈置換例4例の上行大動脈径は平均45.2mm,全例40mm以上.大動脈置換非試行例で平均35.1mm,全例40mm以下.【考察】TOF etc.再手術例で拡大大動脈を認めるPVR症例に①肺動脈圧排でPVR施行の妨げになる②再々手術時の開胸時破裂・経過観察中の大動脈解離/破裂が危惧される4例に大動脈置換術を施行した.大動脈置換例と非施行例のカットオフ値は40mmで後天性ガイドラインから逸脱した.循環停止時間,死亡の結果からPVR時の大動脈同時手術は手術リスク増加因子では無い.【結語】TOF etc.再手術で≧40mmの拡大大動脈症例はPVR施行困難例があり,将来の解離・破裂・再再手術のリスクも加味し大動脈置換術を積極的に考慮して良い.