The 59th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

成人先天性心疾患

一般口演(I-OR09)
成人先天性心疾患

Thu. Jul 6, 2023 10:10 AM - 11:20 AM 第7会場 (G314+315)

座長:石戸 博隆(埼玉医科大学総合医療センター小児科小児循環器部門), 座長:三浦 大(東京都立小児総合医療センター 循環器科)

[I-OR09-07] 成人先天性心疾患におけるトルバプタンリン酸エステルナトリウム(サムタス)の薬理作用

高橋 努, 水野 風音 (済生会宇都宮病院 小児科)

Keywords:サムタス, トルバプタンリン酸エステルナトリウム, 成人先天性心疾患

【背景】サムタスはトルバプタンのプロドラッグ注射剤である。【目的】薬理作用を尿量、排尿パターン、血清Na、尿浸透圧、RAAS系、カテコラミン、BNP等から検討する。【対象】心臓手術を行った成人先天性心疾患患者4名【症例1】36歳女性。Ebstein奇形、三尖弁再置換術。肺うっ血と酸素需要がサムタス4mgから8mgに増量し改善。1日尿量は850cc→1040㏄。尿量は投与1時間で増量し3-6時間で最大。尿浸透圧は2-3時間で最低となり342mOsm/L→137。血清Naは132→135。血清Cr、血清浸透圧、ドパミンは変化なく、血漿レニン活性、アルドステロン、アルドステロン/レニン比、BNPは低下。【症例2】36歳女性。TOF、肺動脈弁置換術。肺うっ血がサムタス4mgから8mgに増量し改善。1日尿量は1170cc→3740cc。尿量は1時間で増量し1-2時間で最大。尿浸透圧は2時間で最低となり602→39。血清Naは136→141。血清Cr、血清浸透圧は変化なし。【症例3】37歳女性。TOF、肺動脈弁置換術。肺うっ血がサムタス4mgで改善。8mgに増量しても尿量は増えず。1日尿量は1660cc→2670cc。尿量は1時間で増量し1-2時間で最大。尿浸透圧は2時間で最低となり275→78。血清Naは138→143。血清Cr、血清浸透圧、ドパミン、血漿レニン活性は変化なく、アルドステロン、アルドステロン/レニン比、BNPは低下。【症例4】29歳男性。バルサルバ洞動脈瘤破裂、閉鎖術。肺うっ血に対しサムタス16mgから開始し、1日尿量は2550cc→5940ccとなり8mgに減量。尿量は1時間で増量し2-4時間で最大。尿浸透圧は2時間で最低となり643→155。血清Naは130→138。血清Crは変化なし。【考察】尿量は投与後1-2時間で最大となることが多く、尿浸透圧によるレスポンダー判定はサムスカよりも早く行う必要がある。高Na血症にはならず、腎機能、RAAS系、交感神経系への悪影響もなく肺うっ血は改善しBNPも低下した。心臓術後早期の心不全管理に良い適応である。