[I-OR10-02] 大動脈縮窄症のカテーテル治療後再狭窄病変に対し自己拡張型ステントグラフト内にバルーン拡張型ステントグラフトを留置し治療した一例
キーワード:大動脈縮窄症, ステントグラフト, カテーテルインターベンション
【緒言】大動脈縮窄症(CoA)に対するステント留置術は確立された手技であるがステント留置による血管損傷、瘤形成が問題となる。今回我々は大動脈弓形態に合わせて自己拡張型ステントグラフトを留置し、その内部にバルーン拡張型ステントグラフトを留置して良好な結果を得たので報告する。【症例】11歳女性。日齢11で尿路感染症に罹患、その際にCoA、PDAと診断された。CoAは軽症であり、生後40日でPDA結紮術のみ施行。その後の経過は良好であった。9歳でCoAが進行したためバルーン血管拡大術(BD)を施行したが効果は得られなかった。Re-ciolによりBD後にCoAは更に増悪、11歳でステント留置術を行うこととした。ステントは合併症を考慮してステントグラフトを留置することとした。右総大腿動脈5 Fr、左総大腿動脈に4 Frシースを挿入。治療前のCoA前後の圧較差は60mmHg、上行大動脈径30 mm、大動脈峡部9 mm、 縮窄部3.7 mm、下行大動脈9 mm。計測終了後、Stiff wireを左室内に挿入して右シースを10 Frに交換。4㎜径のMustangバルーンカテーテルで前拡張を行い、11㎜径×50㎜長の自己拡張型ステントグラフトGore®VIABAHN® を大動脈弓部から下行大動脈に沿わせ留置した。続いて留置したステント内に径11㎜×29㎜長のバルーン拡張型ステントグラフトGore® VIABHAN® VBXを挿入して拡張、留置した。治療後の圧較差は10mmHgまで低下。ステントは大動脈弓の形態に沿って挿入され、合併症なく治療は終了した。【考案】自己拡張型ステントグラフト内にバルーン拡張型ステントグラフトを留置した。先ず大動脈弓の形態に沿って自己拡張型ステントグラフトが挿入することでバルーン拡張型ステントグラフトのエッジが血管損傷を起こすことを心配せずに治療が出来た。CoAの治療として自己拡張型とバルーン拡張型を組み合わせたステント挿入は合併症の予防方法として有用と考えられる。