[I-OR10-04] 純型肺動脈閉鎖症の二心室循環到達症例において治療法の違いが予後に与える影響はあるのか
キーワード:純型肺動脈閉鎖症, 上室性不整脈, 右室拡張能異常
【背景】当院における純型肺動脈閉鎖症(PAIVS)の二心室修復症例はフォンタン循環到達症例に比べ、上室性不整脈発生率が高いこと(20% vs 5%, p=0.012)を3年前に報告した。【目的】当施設のPAIVSで二心室修復が行われた症例について、治療法の違いが予後に及ぼす影響について調べる。【方法】1977年9月より2019年6月までに当院で手術あるいはカテーテル治療を受け、二心室循環に到達した症例33名を、経カテーテル的肺動脈弁拡張(PTPV)のみ行われた症例C群(n=13)、最終的に外科的治療(Brock法または右室流出路形成術[RVOTR])を要した症例S群(n=20)に分け、その診療経過について比較検討を行った。【結果】男女比はC群6:7、S群9:11で、肺動脈弁への介入日齢はC群6日(0―24日)、S群 22日(2―977日)であった。S群のうち6例はBrock術のみで、14例はRVOTRを要し、そのうち4例は初回にBrock術、5例はPTPVが行われていた。BTシャントはS群の8例(40%)で行なわれ、C群では全例不要であった。最終フォローアップ年齢はC群8歳(3―25歳)、S群26歳(15―37歳)で(p<0.0001)、心房間短絡の閉鎖はC群の3例 (23%); 外科的5例、自然3例)、S群の18例 (90%; 外科的11例、経皮的5例、自然2例)で確認された。PR、TRはmoderate以上をC群7例、8例に、S群17例、15例に認めた。上室性不整脈はC群では認めず、S群で9例(45%)に認めており(p=0.02)、25歳時での不整脈イベント発生率はS群43%、C群0%であった。死亡例は認めなかった。【考察・結語】PAIVSにおいてRVOTRを要した症例の不整脈発生率は高く、PTPVのみが行われた症例では心イベントの発生を見なかった。しかしPTPVのみの症例もほとんどで残存病変を有しており他臓器にわたる遠隔期フォローアップが必要と考えられる。また、RVOTRの要否と右心機能、あるいは右室切開による右室への影響、遠隔期不整脈の発生に関して、今後経時的かつ多角的な評価を含めた更なる研究が求められる。