[I-OR10-06] 主要体肺側副動脈に対するperipheral cutting balloonの有効性の検討
キーワード:カッティングバルーン, MAPCA, カテーテル治療
【背景】主要体肺側副動脈(MAPCA:Major AortoPulmonary Collateral Artery)の狭窄に対する経皮的肺動脈形成術(PTA:Percutaneous Transluminal Angioplasty)の効果は限定的である。Peripheral cutting balloon(PCB)よるPTA(CBA:Cutting Balloon Angioplasty)の有効性の報告は散見されるが、MAPCAに対するCBAの報告は稀である。【目的】CBAのMAPCAに対する有効性を検討する。【方法】対象は3症例5回のべ9病変のCBAを診療録より後方視的に検討した。評価項目は、CB径、CBA前最狭部径、参照血管径、CB/最狭部径比、CB/参照血管径比、CBA後径(後拡張後含む)、拡張率、後拡張施行例の拡張率、follow upカテーテルまでの期間、follow up時開存維持率、CBA前の手術回数、合併症の有無。PTA(noncompliant balloon)とCBAをともに施行した病変の比較。【結果】CB径5.2±1.1mm、最狭部径2.1±0.8mm、参照血管径4.6±1.9mm、CB/最狭部径比2.5±0.8、CB/参照血管径比1.2±0.4、CBA後径3.1±1.1mm、拡張率150±23%、5病変で後拡張を施行し、拡張率158%。follow up期間(n=4) 2.7ヶ月、開存維持率(n=4) 84±10%、後拡張施行2病変は開存維持率92%であった。事前手術数は全例3回、合併症は2例でPCB回収困難、1例でシース破損、1例で介入不要のdissectionであった。PTAとCBAの3病変の比較では、PTA施行時CB/最狭部径比2.7、拡張率122%、同一病変のCBA施行時CB/最狭部径比2.4、拡張率140%。【考察】PCBのブレードによりMAPCAの肥厚した内膜に切れ目を入れることで、有効な拡張が得られる。通常のPTAと比較し、より小さいバルーンでより大きな拡張が得られる理由もこのためと考えらえる。また、後拡張を加えることで、内膜の断裂が安定化すると思われる。【結語】PCBはMAPCAに対し有効な拡張が得られる。