[I-OR11-01] 分割時系列分析によるpublic-access defibrillationの導入と心臓突然死数の関係の検討
Keywords:automated external defibrillator, public-access defibrillation, 心臓突然死
【背景】院外心停止例に対するAED(automated external defibrillator)の使用が予後を改善することは明らかになっているが、国レベルで心臓突然死の減少に寄与したかは明らかになっていない。【目的と方法】日本において民間人による除細動(PAD; public-access defibrillation)が可能となった2004年を境に心臓突然死数が変化したかを分割時系列分析により検討した。人口動態統計において死因が“心停止”あるいは“突然死”として登録されているものを心臓突然死として抽出した。1995年から2015年において、死亡数の年次トレンド(前年との変化率)が2004年の前後で変化したかを、年齢別に5つの群に分け、各年度の人口をオフセットとして一般化線形回帰モデルで検討した。【結果】5-19歳の群において、2004年以前の人口あたりのSCD数は前年比-0.9% (95%CI -3.5%, 1.7%)のトレンドだったのが、2004年以降は前年比-12.2% (-20.4%, -3.3%)のトレンドとなった。2004年以降のトレンドを2004年以前のトレンドで除したRatio of Trends(RT)は0.886 (95%CI 0.801, 0.980)であり統計学的に有意に減少していた。他の年齢群では、20-34歳(RT=0.932; 95%CI 0.906, 0.958)、35-49(RT=0.953; 95%CI 0.929, 0.977)、50-64歳(RT=0.971; 95%CI 0.971, 0.991)でRTが有意に減少していたが、65歳以上(RT=0.976; 95%CI 0.951, 1.002)では有意な減少を認めなかった。男女別の検討では、男性では5-64歳でRTが有意に減少していたのに対し、女性でRTが有意に減少していたのは35-49歳の群のみであった。【結論】日本においてPADが導入された2004年を境に、5-64歳において心臓突然死数の年次トレンドが有意に減少していた。また、男性の方が幅広い年齢層で心臓突然死数が減少していることが明らかになった。