[I-OR11-03] 胃腸症状とQT延長 ―他疾患との比較―
Keywords:QT延長, QTc, 胃腸症状
(目的)胃腸症状(腹痛、嘔吐、下痢)を有する例でQT延長が高頻度で生じることを報告してきたが、今回胃腸症状以外の疾患と比較検討したので報告する(対象)胃腸症状を主訴に来院したのべ21例(実数19例)を胃腸群とし、それ以外の疾患の13例を対象とした。年齢は胃腸群1歳11ヶ月~15歳3か月、中央値8歳3か月、対照群1歳6ヶ月~15歳3か月、中央値10歳3か月)。男女比は胃腸群10対9、対照群5対7であった。(方法)インフォームドコンセントを得た後、安静時十二誘導心電図を実施。QTc測定は心電計自動解析。Bazed法で0.460以上Fridelicia法で0.420以上を延長ありと判定した。 (結果) 胃腸群のべ21検査中Bazed法では6例、Fridelicia法では13例延長ありと判定された。一方、対照群のべ19検査中Bazed法で0例、Fridelicia法では1例延長ありと判定された。陽性率は胃腸群Bazed/Fridelicia=28.6%/61.9%に対し対照群0%/5.3%であった。胃腸群では急性胃腸炎10例中(Bazed/Fridelicia)4/6、キャンピロバクタ腸炎4例中0/1、ロタウイルス腸炎2例中1/2、急性虫垂炎2例1/2、病原大腸菌O-1胃腸炎1例0/1、食物アレルギーによるアナフィラキシー1例0/1、便秘1例0/0であった。対照群の延長例は食物アレルギーの患児であった。胃腸群、対照群とも症状消失と共に全例正常化した。(考案)今回の検討ではBazed/Fridelicia法いずれかでQTc延長陽性と判定された「陽性率」は胃腸群で明らかに高かった。胃腸炎を生じるウイルスの心臓への感染、胃腸の炎症による迷走神経反射の影響など原因の可能性があるが依然不明である。(結論)1)QT延長が生じる頻度は胃腸炎など胃腸疾患では他の疾患に 比して明らかに高頻度であった。2)胃腸炎などでは心電図モニターを必須とすべきである。