[I-OR11-05] 当院における先天性左冠動脈開口部閉鎖と診断された5症例の臨床経過
Keywords:先天性冠動脈疾患, 先天性左冠動脈開口部閉鎖, 突然死
【背景と目的】先天性左冠動脈開口部閉鎖は心筋虚血の程度により発症年齢や初発症状が異なる。当院において本症(開口部高度狭窄を含む)の臨床的特徴について報告する。【結果】2010年以降、当院で診断された15歳以下の先天性左冠動脈開口部閉鎖は4例、高度狭窄は1例であった。症例1:0歳6ヶ月男。感冒症状を契機に心陰影拡大、僧帽弁逆流(MR)を指摘、心電図から本症を疑い冠動脈造影(CAG)で確定診断。右冠動脈からの側副血管は乏しく、心筋血流シンチでは回旋枝領域還流低下の所見。左冠動脈形成術、僧帽弁機械弁置換術を行い、術後経過は良好。 症例2: 2歳8ヶ月女。感冒症状を契機に心陰影拡大、MRを指摘。CAG施行し確定診断。心筋血流シンチでは局所的軽度な集積低下、側副血管は発達が十分な所見。薬物投与にて経過観察し経過は良好。症例3:3歳9ヶ月男。感冒症状を契機に心陰影拡大、MRを指摘。心電図、CAGで高度狭窄の診断。側副血管は乏しく心筋血流シンチで左前下降枝領域還流低下の所見。左冠動脈形成術、僧帽弁形成術を行い、術後経過は良好。 症例4:9歳男。野球の練習中に胸痛自覚、その後失神。心肺蘇生を受けながら救急搬送。心室細動にて除細動され洞調律へ。CAGにて本疾患と診断。側副血管は乏しく心筋血流シンチで心尖部領域還流低下を認めた。左冠動脈形成術を行い、術後経過は良好。 症例5:14歳男。Noonan like症候群として近医で通院中。学校のランニング中に失神、心肺蘇生され救急搬送。心室細動の診断で除細動にて洞調律へ。CAGにて本疾患と診断。側副血管は乏しく心筋血流シンチで前壁領域還流低下を認めた。左冠動脈形成術を行い、術後経過は良好。【考察】乳幼児では心不全、学童では運動時心室細動が初発症状で発症年齢によって初発症状が異なると考えられた。【結論】本症は乳幼児では心不全、学童では失神、突然死の鑑別診断として重要な疾患と思われる。