第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

QT延長症候群・ブルガタ症候群

一般口演(I-OR12)
QT延長症候群・ブルガタ症候群

2023年7月6日(木) 14:30 〜 15:40 第7会場 (G314+315)

座長:鈴木 博(新潟大学医歯学総合病院), 座長:馬場 礼三(中部大学 生命健康科学部)

[I-OR12-01] 学校心臓検診で診断されたQT延長症候群患児の予後を予測するための新たなアプローチ

二宮 由美子, 田中 裕治, 吉永 正夫 (鹿児島医療センター 小児科)

キーワード:QT延長症候群, 学校心臓検診, ホルター心電図

【目的】学校心臓検診でスクリーニングされ、QT延長症候群(LQTS)と診断された小児患者の臨床像を明らかにし、予後を予測すること。【方法】2005年4月から2019年3月までにLQTSの診断を受けて筆者らのセンターに紹介された小児例のうち、Schwartzスコア1点以上の患児を対象とし、後ろ向き研究を行った。診断時期により、前半(2005年4月~2012年3月)と後半(2012年4月~2019年3月)に分類した。受診毎に、安静時12誘導心電図検査およびホルター心電図検査を実施し、そのうち安静時心電図の最長QTc値とホルター心電図の最長QTc値を統計解析に使用した。Kaplan-Meier生存曲線を作成し、LQTS関連心イベントの累積リスクを予測検討した。【結果】449人の患者のうち、223人(50%)がdefinite LQTSの基準を満たした。この223名のうち、193名(87%)が学校心臓検診でスクリーニングされ確定診断されていた。definite LQTS患児では、受診後の累積症状出現率は前半の10.8%から後半は0.9%に減少した(P=0.02)。多変量回帰分析の結果、診断時における安静時心電図のQTc値、安静時心電図での最長QTc値、ホルター心電図での最長QTc値の中で、ホルター心電図での最長QTc値が受診後の心症状の唯一の予測因子(P=0.002)であった。【結論】LQTS患児の予後は、学校心臓検診によるスクリーニング制度で大幅に改善されてきている。症状の出現を予測するには、ホルター心電図での最長QTc値を用いるのが適切である。