[I-OR12-02] 学校心臓検診におけるQT延長者やQT延長症候群患者の成長に伴うQTcの変化
Keywords:学校心臓検診, QT延長症候群, 心拍補正QT間隔
【背景】心拍補正QT間隔(以下QTc)は成長に伴い変化するが、学校心臓検診で抽出さるQT延長者やQT延長症候群患者(以下LQTS)の成長に伴う変化は十分明らかになっていない。【目的】学校心臓検診で抽出されるQT延長者や診断されるLQTSの成長に伴うQTcの変化を検討する。【対象】M市の学校心臓検診で12誘導心電図を、小1と小4に記録した490名(男238名、女252名):A群と、小4と中1で記録した489名(男240名、女249名):B群 【方法】各学年での自動計測でBazett補正QT間隔またはFridericia補正QT間隔が90パーセンタイル以上の者について、用手接線法計測Fridericia補正のQT間隔 (以下QTcF)を求めた。QT延長の抽出基準をA群ではQTcF≧430とし、B群ではQTcF≧440とした。対象者の中で診断されたLQTSの経時変化も検討した。【結果】QTcFの測定対象となったのは、A群で男54名、女52名、B群で男60名、女50名であった。A群でQTc抽出基準を満たしたものは小1、小4時ともに、男 2名、女1名であった。うち小1時と小4時で共に基準を満たしたものは女1名のみであった。B 群での抽出基準を満たしたものはは小4時、男 1名、女2名、中1時では男 2名、女2名であった。うち小1時と小4時で共に基準を満たしたのは、男女各1名であった。B群にLQTSの女が3名いた(うち2名がLQT2)。LQT2の2名は中1では抽出基準を満たしたが、小4では満たしておらず、うち1名は小4での自動計測ではFriedricia補正QTc<450であった。また遺伝子診断未施行のLQTSの1名は、小4、中1時ともに抽出基準を満たしていたが、自動計測ではFriedricia補正QTc<450と過小評価されていた。【結語】学校心臓検診でのQT延長者のQTcも成長に伴い個々に変化し、抽出対象も学年により異なった。LQTSのQTcも変化し、1回の心電図では抽出されない症例もあり、複数回の検診は有用と考えられた。