[I-OR12-04] Ca調節蛋白異常によるQT延長症候群の2例
Keywords:鹿児島, 日置, 吹上
【背景】心筋細胞内における筋小胞体からのCa2+誘発性Ca2+放出機構の異常はリアノジン受容体(RyR)の遺伝的変異を背景としたカテコラミン感受性心室頻拍が周知であるが、カルモジュリンを含むその他の蛋白の遺伝的変異によりQT延長の臨床病型が生じることも知られるようになった。【症例1】8か月女児。周産期異常はなし。母はQT延長症候群で管理されていた(失神なし)。啼泣後四肢弛緩・眼球上転のため無熱性けいれんとして入院。発作時脈拍消失から蘇生術を施行。心電図モニターではP波150/分、QRS波75/分の2:1房室ブロックに加え、QTc581ms、T波頂点遅延から臨床的LQT3(遺伝子検査陰性)としβ遮断薬とメキシレチンで加療し以後発作なく経過。22歳時QTc521ms。遺伝子再検査によりカルモジュリンCLAM22遺伝子新規変異を同定。【症例2】6歳女児。周産期異常なし。。家族歴なし。学童心臓検診で心室性期外収縮とQTc 519mを指摘。受診時安静時12誘導心電図は心拍数67/分、QTc0.519sec。左脚ブロック型正常軸の単形性心室性期外収縮散発あり(ホルター心電図で総心拍数の20%)。トレッドミル運動負荷心電図で短時間の心室頻拍あり。遺伝子検査でリアノジン受容体RyR2遺伝子新規変異を同定。17歳時QTc495ms。学校管理区分D禁。β遮断薬・フレカイニド内服により失神なく経過。【考察】CLAM22およびRyR2遺伝子異常によるLQT2例を経験し、それぞれ異なる臨床病型をたどったが薬物治療が奏功している。