[I-OR12-06] 1200回を超える除細動を行ったBrugada症候群のケースを経験して ‐心室細動からの生還 当院の6人の選択‐
Keywords:ブルガダ症候群 , 心室細動 , ICD
【はじめに】1990年12才で発症したBrugada症候群を経験した. 3年に及ぶ入院中の除細動は500回を超え、1992年治験中のICD植え込みと薬剤コントロールで退院、26才時ICDの作動不良により、重篤な神経学的後遺症を残し、33才で永眠した. ICD作動は18年間で750回を超え、3世代に渡るICDの植え込み、心膜パッチによる絞扼性心筋障害とパッチ除去、新規リードの除細動閾値上昇による経皮的抜去を経験、ICDの歴史と共に歩んだ壮絶な一生だった. 本例を含む当院での失神、心室細動蘇生症例を振り返った. 【方法】1) 原疾患 2) 初回心イベント 3) デバイス 4) 薬物治療 5) VF再発の有無について検討した.【結果】1) 32年間に6例、ブルガダ症候群、TOF・HCM、DORV・TCPC 、先天性房室ブロック(CAVB)、心筋緻密化障害(NCCM)、カテコラミン誘発性多型性心室頻拍(CPVT)が各1で、生存の5例は15‐32才.2) 初回心イベントは 3‐21才でみられ、VF 5・失神後の蘇生 1で、運動中 4, 入浴中 1, 安静時 1. 観察期間は5‐21年.3)ICDは3例、経静脈2, 心筋リード1. 10才のCAVB症例は126㎝25Kgで、経静脈も可能だが年齢を考慮、心筋リードでICD植え込みとした. ICD未使用は3例、NCCMは本人の強い拒否でループレコーダー植え込み、NSVTが記録され薬剤調整に寄与した. CPVTは家族の希望なく自宅にAED設置. TCPCは既存リードでSSSの治療にとどめ、有事の治療環境を考慮し病院で勤務している.4) 抗不整脈薬は β‐blocker 5、AMD 3、ベラパミル 1、フレカイニド 1. 5) 生存が5、死亡が1、繰り返すVFはブルガダ症候群とCVPTの2で、VFストームによる重篤な中枢神経合併症を残した.他4例は2回目以降のイベントは見られていない.【まとめ】致死性不整脈における適切なデバイス併用は不可避だが、導入を悩む症例も経験する.ICDなくては生存しえない症例もあるが、デバイスは万全ではなく、VF再発防止はもとより、BLSはじめ有事対応の教育は欠かせない.