[I-OR13-01] 先天性心疾患術後の冠動脈狭窄に対する経皮的冠動脈バルーン形成術後遠隔成績
Keywords:冠動脈狭窄, 経皮的冠動脈形成術, 冠血行再建術
先天性心疾患 (CHD)術中・術後において、稀ながら冠動脈狭窄が生じ、冠血行再建術が必要となることがある。CHD術後に対する経皮的冠動脈バルーン形成術(PCBA)後の遠隔成績について報告する。(対象・方法)対象は2000年から2018年にCHDの心内修復術後冠動脈狭窄に対してPCBAが施行された6人(男4人、女2人)である。基礎疾患は、左冠動脈肺動脈起始 (ALCAPA)術後(Takeuchi法)、単心室フォンタン術後で術中冠動脈損傷、大動脈転換術後(ASO)各2人である。PCBA施行年齢は、1か月から14歳(中央値5歳)、手術からPCBAまでの期間は、37日から14年(中央値8か月)、PCBAから遠隔期のCAGは、2か月から14年(中央値11か月)であった。 PCBA中の麻酔は、全身麻酔3人、局所麻酔3人であった。使用バルーンサイズ、PCBA中の合併症、初期成績、遠隔期の冠動脈再狭窄、心事故について、診療録から後方視的に検討した。(結果)標的血管は、LMT4 、RCA1、LAD1で、最狭窄部は0.3~0.7mm、リファレンス径は1.9〜5.1mm、使用バルーン径は、2〜4mm、リファレンスに対する使用バルーン径比は、0.5〜1.6であった。1人にリコイルがみられ、薬剤溶出ステントが留置された。術中手技による合併症はなく、初期成績は、全例狭窄部径の拡大が得られた。遠隔期の再狭窄は、生後1か月で施行されたALCAPAの症例で、PCBA術後2か月に再手術が施行された。他の5人において、術後の CAGで再狭窄はなく、心事故もなかった。(結語)CHD術後の冠動脈狭窄に対するPCBAは低侵襲で、有用な冠血行再建術である。