[I-OR13-04] 当院におけるBalloon Atrial Septostomy (BAS)の方法と有効性の検討
Keywords:カテーテル治療, pullback BAS, static BAS
【はじめに】Balloon Atrial Septostomy (BAS)が確立した手技であるが、最近wire atrial septostomyなどの難易度の高い手技が試みられている。【目的】当院で施行したBAS施行症例について、安全性と有効性を検討する。【対象】2011年〜2022年でBASを施行した28例、30回。【方法】診療録から後方視的に診断名、BAS施行時年齢、BASの方法、BAS後の手術とその待機期間、BAS後の循環不全の有無、合併症の有無を検討した。【結果】診断の内訳は、大血管転位症(TGA) 21例、単心室循環7例で前者はmixing改善目的、後者は血流障害改善目的に施行されていた。BAS施行時年齢は日齢0〜322(中央値10.5)。pullback法は24例、static法は19例で、同時に両方施行したのは13例であった。新生児例は全例pullbackを施行していた。static法19例の内blade使用例1例、parallel wire法1例、triple balloon法1例であった。新生児期にJatene手術を施行した症例は11例で、BAS後平均10日だった。新生児期以降の2心室修復例は7例、Fontan candidateは10例で、これらは長期的な卵円孔の開存が必要だったが、予定手術までの待機期間(平均215日)中にBASを追加したのは2例でいずれも有効な拡大が得られ、手術や開胸下での拡大術を施行した症例はなく、予定手術の前倒し例もなかった。9例でBAS後、高肺血流による急激な循環動態の変化を認めたが、いずれもTGAの新生児症例であった。【考察】従来行われているpullback法やstatic BASがほぼ全例で有効でいずれも長期的な開存が得られた。TGAの新生児例でpullback BAS後に高肺血流から循環不全を来す症例が多かったが、早期に根治術を施行する症例であることを考慮すると、循環動態への影響が少ないと思われるstatic BASが有用である可能性がある。【結語】心房間交通拡大の目的と対象に応じてpullback BASとstatic BASを選択的に使用することで安全で有効な治療ができる。