[I-OR14-01] 血漿Myl9測定は川崎病の診断に有用である
キーワード:Myl9, 川崎病, 冠動脈病変
【背景】川崎病は感染症等との鑑別が難しい症例がおり治療開始が遅れると冠動脈瘤の合併リスクが上昇する。COVID-19パンデミックによりMIS-Cとの新たな鑑別が必要となり、診断において血管壁の炎症マーカーが極めて重要な時代となった。我々は炎症白血球が発現するCD69のリガンドであるMyl9/12が活性化血小板から分泌されるされることに着目した。川崎病剖検組織において冠動脈瘤血管壁と血栓にMyl9/12が強発現していることを観察した。【目的】本研究では、血液中Myl9が血小板活性化と血管炎マーカーとして小児熱性疾患と川崎病との鑑別に有用なのではないかと考え、この仮説の検証を行った。【対象と方法】川崎病76例、小児気道感染症6, 川崎病と鑑別を要した10例(尿路感染症3、EBウイルス感染症2、アデノウイルス1、頸部リンパ節炎1、ノロウイルス感染症1、エルシニア感染症1)、健康対照17例を対象とし、同意を得て急性期の血漿Myl9濃度をELISAで測定した(LifeSpan BioSciences, Seattle, US) 。川崎病症例では回復期の濃度も測定した(千葉大学No.3683)。【結果】川崎病急性期においては、他の小児熱性疾患と比して有意にMyl9値は高値を示した (p=0.016)。小児熱性疾患と健常小児とで血漿Myl9値に有意差を認めなかった。川崎病急性期で高値であり回復期には有意に低下した(p<0.001)。IVIG前後の検討では反応例は有意に低下したの(p<0.01)に対し不応例では低下を認めなかった。Myl9値が500ng/mL以上の4例はいずれも中等瘤以上の冠動脈病変を合併した。【結論】川崎病患者は他の熱性疾患と比して血漿Myl9値は高く、鑑別診断に有用である。また、測定値は川崎病の経過を反映する可能性がある。