[I-OR14-02] 川崎病の診断基準を満たした小児COVID-19関連多系統炎症性症状群(MIS-C)におけるT細胞受容体(TCR)レパトアの特徴
キーワード:MIS-C, 川崎病, TCRレパトア
【背景】小児COVID-19関連多系統炎症性症状群(MIS-C, multisystem inflammatory syndrome in children)では川崎病の診断基準を満たす例が存在するが、同一のスペクトラムに属する疾患なのか不明である。川崎病診断基準を満たしたMIS-CにおけるT細胞受容体(TCR , T cell receptor)レパトアの特徴を報告する。【症例1:川崎病診断基準を満たしたMIS-C】8歳男児。X-42日にCOVID-19と診断された。X日に発熱、嘔気、下痢を呈し、X+3日に頚部リンパ節腫脹が出現し内服抗菌薬を開始した。X+5日に眼球結膜充血、口唇の粘膜障害、発疹が出現し川崎病主要徴候を5/6項目満たした。心エコー検査でEF 30%の低下を認めMIS-Cと診断し、大量ガンマグロブリン療法、アスピリン、プレドニゾロンを開始した。翌日に解熱し、X+12日にEF 83%まで改善した。末梢血免疫表現型解析で、CD4陽性、CD8陽性T細胞ともにTCR Vβ21.3への偏りを伴う活性化を認めた。【症例2:川崎病の診断基準を満たさなかったMIS-C】14歳男児。X-26日にCOVID-19と診断された。X日に発熱し、その後、呼吸困難、食欲不振、咽頭痛が出現した。X+4日に胸痛、咳嗽、下痢、口腔粘膜障害、体動困難を認め入院した。X+5日に眼球結膜充血が出現し、川崎病主要徴候は3/6項目であった。心エコー検査でEF 40%の低下を認めMIS-Cと診断し、大量ガンマグロブリン療法とアスピリンを開始した。翌日に解熱し、X+7日にEF 55%まで改善した。末梢血免疫表現型解析で、CD4陽性、CD8陽性T細胞ともにTCR Vβ21.3への偏りを伴う活性化を認めた。【考察】MIS-CではTCR Vβ21.3への偏りを伴うT細胞の活性化がみられ、SARS-CoV-2スパイク蛋白をスーパー抗原とした免疫学的反応が示唆されている。【結語】川崎病診断基準を満たした症例においてもTCR Vβ21.3への偏りを伴うT細胞の活性化を認め、MIS-C診断において有用なマーカーになりうると考えられた。