第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

川崎病

一般口演(I-OR14)
川崎病

2023年7月6日(木) 16:30 〜 17:20 第7会場 (G314+315)

座長:上砂 光裕(日本医科大学多摩永山病院小児科), 座長:小林 徹(国立成育医療研究センター データサイエンス部門)

[I-OR14-02] 川崎病の診断基準を満たした小児COVID-19関連多系統炎症性症状群(MIS-C)におけるT細胞受容体(TCR)レパトアの特徴

出口 拓磨1, 村上 卓1,2, 石踊 巧1, 野崎 良寛1, 森田 篤志1, 今川 和生1,2, 堀米 仁志3, 高田 英俊1,2 (1.筑波大学附属病院 小児科, 2.筑波大学 医学医療系 小児科, 3.茨城県立こども病院 小児循環器科)

キーワード:MIS-C, 川崎病, TCRレパトア

【背景】小児COVID-19関連多系統炎症性症状群(MIS-C, multisystem inflammatory syndrome in children)では川崎病の診断基準を満たす例が存在するが、同一のスペクトラムに属する疾患なのか不明である。川崎病診断基準を満たしたMIS-CにおけるT細胞受容体(TCR , T cell receptor)レパトアの特徴を報告する。【症例1:川崎病診断基準を満たしたMIS-C】8歳男児。X-42日にCOVID-19と診断された。X日に発熱、嘔気、下痢を呈し、X+3日に頚部リンパ節腫脹が出現し内服抗菌薬を開始した。X+5日に眼球結膜充血、口唇の粘膜障害、発疹が出現し川崎病主要徴候を5/6項目満たした。心エコー検査でEF 30%の低下を認めMIS-Cと診断し、大量ガンマグロブリン療法、アスピリン、プレドニゾロンを開始した。翌日に解熱し、X+12日にEF 83%まで改善した。末梢血免疫表現型解析で、CD4陽性、CD8陽性T細胞ともにTCR Vβ21.3への偏りを伴う活性化を認めた。【症例2:川崎病の診断基準を満たさなかったMIS-C】14歳男児。X-26日にCOVID-19と診断された。X日に発熱し、その後、呼吸困難、食欲不振、咽頭痛が出現した。X+4日に胸痛、咳嗽、下痢、口腔粘膜障害、体動困難を認め入院した。X+5日に眼球結膜充血が出現し、川崎病主要徴候は3/6項目であった。心エコー検査でEF 40%の低下を認めMIS-Cと診断し、大量ガンマグロブリン療法とアスピリンを開始した。翌日に解熱し、X+7日にEF 55%まで改善した。末梢血免疫表現型解析で、CD4陽性、CD8陽性T細胞ともにTCR Vβ21.3への偏りを伴う活性化を認めた。【考察】MIS-CではTCR Vβ21.3への偏りを伴うT細胞の活性化がみられ、SARS-CoV-2スパイク蛋白をスーパー抗原とした免疫学的反応が示唆されている。【結語】川崎病診断基準を満たした症例においてもTCR Vβ21.3への偏りを伴うT細胞の活性化を認め、MIS-C診断において有用なマーカーになりうると考えられた。