[I-P01-1-01] 長期に渡り運動制限を要さない軽微な不整脈として管理されていたカテコラミン誘発多形性心室頻拍の一例
Keywords:カテコラミン誘発多形性心室頻拍, 学校心臓健診, 徐脈
【緒言】カテコラミン誘発多形性心室頻拍(CPVT)は安静時の心電図が正常であることもあり、初診時に見逃されやすい致死的不整脈である。今回、長期的に管理している中でCPVTの診断に至った症例を経験したので報告する。【症例】 13 歳女性。小学校1年生の学校心臓検診では異常は指摘されていない。小学校 2 年生の校医内科健診で心雑音を指摘された。既往歴として胎児期に徐脈を指摘されたが生後の精査では異常は指摘されなかった。聴診では心雑音は明らかではなく、心電図では心拍数 48 /min、QRS間隔は一定だが P波が確認されない心拍もあり、房室接合部調律となっていた。運動負荷をすると心拍数は78/minまで上昇、P-QRS はすべて連結した。学校生活管理指導表は「洞不全、房室接合部調律E管理」とした。小学校 4 年生まで定期フォローを継続したが心電図所見に変化はなく、次回の診察を中学校入学時とした。中学校入学後の診察では本人より易疲労の訴えがあった。心電図では安静時心拍数 46 /min、P 波は確認できず房室接合部調律の所見が認められた。運動負荷を加えるとHR78 /minまで上昇し、PVC二段脈が出現した。PVCは速やかに消失したが負荷後3 分でHR47 /minまで低下し、QRSの脱落はないものの明瞭なP波は確認できなかった。後日トレッドミル心電図を行ったところ負荷を加えHR80 /minを超えた時点から二方向性の心室頻拍が誘発され、特徴的なVTからCPVTと診断した。診断後はナドロール、フレカイニドを内服して、学校生活管理指導はB管理とした。以後不整脈に起因するイベントの発生なく経過している。【考察】本症例を振り返ってみると胎児期の徐脈、安静時の徐脈、運動負荷への心拍応答の不良など診断のヒントになることが多くあった。丁寧な問診、十分な運動負荷、粘り強いフォローなどの重要性を改めて認識させられる症例であった。