[I-P01-1-02] 着用型自動除細動器により安全に管理できた特発性心室細動の小児例
キーワード:着用型自動除細動器, 特発性心室性細動, 突然死の予防
【背景】2014年から保険償還され国内で使用開始された着用型自動除細動器(WCD, wearable cardioverter defibrillator)は、着脱可能なベスト型の除細動器である。致死性不整脈のリスクを有する患者の不整脈を連続的に監視し、突然死の予防効果が証明されている一方で、小児領域での使用報告は少ない。【症例】特発性心室性細動の11歳女児。鬼ごっこ中に意識消失を認め、自動体外式除細動器(automated external defibrillator:AED)の使用により心肺再開し、当院に救急搬送された。AED解析では、心室細動(ventricular fibrillation:VF)を認めた。VF既往によりICD(implantable cardioverter-defibrillator:ICD)適応と判断されたが、植え込み希望はなく、一時的にWCDを装着した。遺伝子解析によりRyR2遺伝子変異を認めた。遺伝子結果の説明後に皮下埋め込み型除細動器(subcutaneous implantable cardioverter-defibrillator:S-ICD)を留置した。その後、VFによる意識消失を2回認め、S-ICDによるショック作動が適切に行われた。【考察】日本循環器学会ガイドラインによれば,本症例はVFによる蘇生例であり、ICDの推奨classⅠであったが、遺伝子診断の結果以前は本人、ご家族ともにS-ICD治療を躊躇していた。非侵襲的なWCD着用のコンプライアンスも良好で、S-ICDへの移行に有用であった。一方、WCDの保険診療による使用期間は最長3カ月間であり、期限内にS-ICD治療決定できない場合の課題が残る。加えて、WCD処方には、施設基準があり、施設によってはWCDが使用できない。WCDが適切に利用されるために、更なる課題の改善に期待したい。