[I-P01-1-04] 心臓線維腫にNSVTを合併し、薬物治療によりコントロールしている1歳女児例
Keywords:心臓線維腫, NSVT, 抗不整脈薬
【背景】心臓線維腫は心臓腫瘍のおよそ10%を占めその半数に不整脈を合併する。突然死のリスクを有し、重症例では外科的手術が選択される。今回、左室に位置する巨大な心臓線維腫にNSVTを合併し、薬物治療でコントロールしている幼児例について報告する。【症例】胎児期に左室内腫瘤の指摘あり。在胎38週0日、体重2416gで出生し前医NICUに入室した。心エコーで左室後壁から側壁の心尖部側に2cm大の巨大腫瘤を認め、内部はやや不均一で等~高エコーであった。局所の壁運動低下があったが、流出路障害・不整脈は指摘されず、1か月で自宅退院した。1か月20日で当科紹介となり、軽度の多呼吸、心拡大 (CTR 65%)、肺うっ血、心嚢液貯留を伴い、BNP 83pg/mLと上昇しており、利尿薬内服を開始した。3か月時のホルター心電図で無症候性NSVT 3beats (HR 217bpm) が散発し、ビソプロロール内服を開始したが、再検で最大15beatsのNSVTが多発したため、8か月時に精査加療目的で入院した。造影MRIで腫瘤サイズは3cm大で左室内を広く占拠し、T1WIで心筋と等信号、T2WIで淡い高信号であり、中心部分から漸増性に造影効果を認め、線維腫と診断した。手術を考慮したが、低年齢で、正常心筋との境界が不明瞭な巨大腫瘤であり、合併症リスクが高いと判断した。メキシレチン静注が有効であったため同剤の内服を開始し、以後NSVTの頻度は減少し、1歳3か月現在、NSVTは散発するものの無症候性のまま推移している。【考察】心臓線維腫に合併するNSVTに対しては外科的手術の有効性が報告されているが、症例によっては周術期死亡や心臓移植となったケースも存在する。今後も慎重なフォローアップが必須であり、コントロールが増悪する場合にはICD植込みや腫瘍の部分切除、カテーテルアブレーション等の適応を検討する必要がある。