[I-P01-1-07] 植込み型心電計を挿入した心室頻拍、複雑型熱性痙攣の4歳男児
キーワード:植込み心電計, ICM, 心室頻拍, VT, 自閉症スペクトラム障害
【背景】植込み型心電計(ICM: Insertable Cardiac Monitor)は原因不明の反復性失神の鑑別に有用であるが小児に対する植込みの報告は少ない。【症例】4歳男児<既往歴>早産低出生体重(33w2d、1333g)、自閉症スペクトラム障害、複雑型熱性痙攣<病歴>1歳時に気道感染症で入院した際、右室流出路起源と思われる単系のVPCを認められた。心内奇形や心筋症は認められなかった。複雑型熱性痙攣を頻回に発症したが、不整脈は指摘されなかった。2歳8か月時のHolter心電図で運動時に基礎のVPCから変形のない15連発(HR 155bpm)のVTを指摘された。痙攣との関連を考えられ、ナドロールを導入されたがVPCが増加し、中止された。4歳3ヶ月時に活気低下、顔色不良、脈不整の悪化を認められ入院した。入院時には症状は消失していたがPVCの頻発、20連発のVTを認め、リドカインの持続静注、フレカイニドの内服を導入した。発達特性から、不整脈による循環不全の鑑別に長時間Holterや携帯心電計による精査は困難で、ICMを挿入した。事前mappingで正常動作を確認したが、覚醒後に心電図波形変化がおきT波のoversenseが発生した。痙攣時に心電図変化は認められず、フレカイニドの離脱、抗ADHD薬の導入によっても不整脈の悪化がないことが確認できた。挿入後22ヶ月で電池が切れ、発達特性のため植込み部の保護が困難なためデバイスは抜去した。【考察・結語】ICMは小児においても心原性失神の鑑別に有用であった。本児のT波oversenseはICMの回避アルゴリズムが有効では無く、麻酔覚醒後に波形が変化したため事前mappingでも防げなかった。小児でのICM使用においてはT波波高について注意が必要である