[I-P01-1-08] 遺伝性不整脈のICD適応について:ICDを植え込むべきか、植え込まざるべきか?それが問題だ。
キーワード:デバイス治療, CPVT, LQT
はじめに:QT延長症候群(LQT)やカテコラミン誘発多形性心室頻拍(CPVT)に対する植え込み型除細動器(ICD)の適応についてはガイドラインで示されている一方、不適切作動や合併症の可能性を考慮して躊躇する場合がある。また、薬物療法や生活指導でコントロールが良好な場合に悩む場合がある。症例:1)CPVT 14歳男子ラグビーの試合中に転倒し前胸部を打撲。直後に心停止を認めCPRを開始。AEDを装着時の心電図はVfであり、ショックにより洞調律に回復。種々の精査で異常を認めず、当初は心臓震盪と診断。しかし外来フォロー中、運動中に数分程度の失神を反復。失神中のAEDの心電図で二方向性VTが捕捉されCPVTを疑った。遺伝子解析の結果、RyR2遺伝子異常を認めCPVTと診断。診断後、β遮断薬+フレカイニド内服及び運動制限で経過観察中。コンプライアンスは良好。現在イベントはなく、運動負荷心電図を行ってもPVCが全く誘発されない状況となっている。この症例にICDは必要か?2)LQT2 15歳男子対戦型ゲームのプレイ中に30-60秒程度の失神を認め、近医に救急搬送。その後精査目的で当院紹介。心電図で平低ノッチ型T波を伴うQT延長(fQTc=456-466ms)を認めており、LQT2が疑われた。しかし、その後ゲーム中に20-30秒の失神が数回あったが、遺伝子検査に家族の同意が得られないまま経過した。初診から1年が経過したある日、早朝に痙攣・失禁している所を発見され緊急入院。同日の夜、本人が入眠しそうになるとPVCが頻発し、10-20秒程度の心室頻拍とごく短時間の失神を反復するイベントが発生。このため臨床的にLQT2と診断。家族の同意が得られたため、遺伝子解析を実施。KCNH2遺伝子異常を認め診断確定。現在β遮断薬+K製剤でイベントを認めず状態は安定している。この症例にICDは必要か?この2例に対するICDの適応の有無について、皆様とディスカッションできればと考えている。