[I-P01-2-03] 心房中隔欠損症と気道軟化症を合併する21 trisomyに対する心内修復術施行時期の検討
Keywords:21 trisomy, 心房中隔欠損症, 気道病変
【背景】心房中隔欠損症(ASD)は左房圧の上昇をきたさないため小児期にはほとんどが無症状である.一方で21 trisomyではASDのみでも乳児期早期に高肺血流症状がみられることがある.また気道軟化症と肺血流増加型心疾患との関係も指摘されている.【目的】ASDと気道軟化症を合併する21 trisomyにおいて,心内修復術(ICR)を行う時期による臨床像の違いを検討する.【対象】2013年〜2023年の10年間に当院に入院した21 trisomyで気道軟化症とASDを合併した6例.【方法】診療録より後方視的に検討した.【結果】1例は気管支軟化症によるDying spellでICR前に死亡した.残り5例は在胎33〜38週で出生,出生体重の中央値は2352(range; 1625-3056) g,術前の診断で上気道軟化症のみが1例,上気道・下気道軟化症の合併が4例であった.ICR施行年齢の中央値は9か月(2-16か月)で,術前カテーテル検査では中央値でQp/Qs 1.91(1.63-2.56),Rp 4.77(1.19-5.40) Unit・m2,meanPAP 28(21-49) mmHgであった.2022年に出生した1例は,気管切開が必要な重度の気管・気管支軟化症と診断された.心臓カテーテル検査でQp/Qs 1.95,Rp 5.09 Unit・m2,meanPAP 49 mmHgとHigh flow/High resistance PHを認め,ICRを生後2か月に行ったところ呼吸障害の著明な改善が得られ,経鼻酸素で退院した.【考察】肺血流が増加すると拡大した肺動脈により気管や気管支が圧迫される.21 trisomyでは先天的な肺胞壁の形成異常などにより早期に肺高血圧をきたしうるといわれているが,高肺血流による気管や気管支の圧迫についても顕在化しやすいと考えられる.ASDのような一般的には症状を呈さない肺血流増加疾患でも気道症状に関与する可能性があり,ICRを早期に行うことで気道軟化症の改善が得られる場合があると考えられる.【結語】ASDと気道軟化症を合併した21 trisomyでは,早期にICRを施行することで気道病変に対する介入を減らせる可能性がある.