[I-P01-2-04] 先天性心疾患を有するダウン症候群に合併した特発性肺ヘモジデローシスの2例
キーワード:21トリソミー, 肺ヘモジデローシス, 未修復心疾患
【背景】特発性肺ヘモジデローシス(IPH)は肺胞出血を反復しヘモジデリン沈着をきたす原因不明の疾患である。小児100万人あたり1.23人が発症し、ダウン症候群はIPH発症リスクが高いとされる。以前は致死的とされ、現在はステロイドに反応した例は長期生存も期待でき、5年生存率67%~84%と報告されているが、治療抵抗性や予後に影響する因子は不明である。当科ではこれまで15例(うちダウン症候群4例)のIPHを経験しており、リポ化デキサメタゾン(Lipo-DEX)を主体とした治療による良好な成績を報告している。しかし心疾患を有するダウン症候群に合併したIPHは予後不良と考えられ、今回は経験した2症例を報告する。【症例1】症例1、男児:cAVSD、valv AS、CoA、両側PSを合併しており、CoA修復後LPASは自然軽快しLPAHとなったが、RPA低形成で根治術は行えず経過した。3歳で肺出血あり、5歳から貧血を認めていた。6歳で肺炎を発症した際に胃内ヘモジデリン貪食組織球を認め、他疾患の除外よりIPHと診断、Lipo-DEX主体とした治療を行われた。11歳から肺出血が頻回となり、14歳で大量肺出血により永眠した。【症例2】女児:cAVSDで生後から低酸素血症を認め、2か月でPA banding施行し、在宅酸素療法を行っていた。肺血管抵抗高く根治術は行えず、2歳時に低酸素が悪化しPA bandにBAPを行った。2歳9か月で低酸素血症の増悪とKL-6の上昇を認め、胃内ヘモジデリン貪食組織球陽性よりIPHと診断しLipo-DEXを開始した。現在4歳だがSpO2 70%と低く、肺出血を繰り返している。【結語】Lipo-DEX主体の治療でIPHの予後は改善できているが、心疾患を有するダウン症候群の2例では経過中の肺障害のため心内修復手術ができず、IPH診断後は治療抵抗性で管理に難渋していた。ダウン症候群に加えて、未修復心疾患による肺血圧上昇・肺血流増加が肺出血コントロール不良の原因となっている可能性が示唆された。