[I-P01-2-08] 小児期に自己弁温存基部置換術を要したLoeys-Dietz症候群の兄弟例
Keywords:Loeys Dietz症候群, 自己弁温存大動脈基部置換術, 遺伝性大動脈疾患
<背景>Loeys Dietz症候群(LDS)はMarfan症候群より低年齢で,大動脈基部拡張が進行し外科手術を要することが知られている全身性結合組織異常である.<家族背景>2016年,兄4歳時に胸部異常陰影を契機にLDS診断.同時期に弟(10か月)と母もスクリーニング検査でLDS診断.2017年,弟1歳で基部手術.2022年,兄10歳で基部手術.2023年,母30歳で基部手術予定.<症例:兄>10歳男児.4歳時にLDS診断(遺伝子TGFBR1異常).眼間開離,口蓋垂を認めた.フォロー中,上行大動脈径42mmまで拡大し,5mm/1年の拡大率を認めたため手術適応と判断.心エコーで大動脈弁輪21mm,バルサルバ36.8mm(Z-score5.6),上行42mm(Z-score8.4).手術はJ-Graft Valsalva24mmでreimplantationと腕頭動脈再建を伴う部分弓部置換.術後6か月経過し大動脈イベントなし.<症例:弟>1歳男児.10か月時にLDS診断(遺伝子TGFBR1異常).眼間開離,口蓋垂を認めた.バルサルバ径32mm(Z-score7.7), 6mm/半年の拡大率,AR増悪を認めたため手術適応と判断.心エコーで大動脈弁輪16.4mm,バルサルバ32mm(Z-score7.7),上行20mm(Z-score4.6).手術はGelweave22mmでreimplantation.術後6年経過しイベントなし. <考察>小児LDSの治療介入は基部径40mm以上,Z-score3以上,5mm/年以上の急速拡大が文献では提唱されている.本例はこれらの提唱に即して手術適応を決定した.また術後も瘤や急性解離のため再手術を多数要するが,適切な時期に介入ことで比較的良好な予後が得られることが報告されており,慎重に経過を観察中である.