第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

一般心臓病学

ポスター発表(I-P01-3)
一般心臓病学1

2023年7月6日(木) 10:10 〜 10:50 ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:中川 直美(広島市立広島市民病院 循環器小児科)

[I-P01-3-02] 起立性調節障害に対する漢方治療

菊池 豊 (芳賀赤十字病院小児科)

キーワード:起立性調節障害, 漢方治療, 新型コロナウイルス感染症

【背景】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴い、難治性の体調不良を訴える思春期の児童生徒が増加した。【目的】起立性調節障害と診断された思春期児童生徒のうち、ミドドリン塩酸塩による標準治療を行ったにもかかわらず、軽快せず漢方治療を併用した症例について検討し、漢方治療の有用性について検討すること。【方法】2020年1月から2022年12月の3年間(COVID-19流行期)に、当院外来を体調不良にて受診し、臨床症状から起立性調節障害と診断された児童生徒を対象とした。標準治療を行い、効果が不十分と考えられた症例に対して、漢方薬を追加処方し、その有効性を検討した。【結果】この期間に標準治療(ミドドリン塩酸塩)に漢方薬(半夏白朮天麻湯、半夏厚朴湯)を処方された症例は7例だった。男児2例、女児5例。平均年齢14.2歳(12.1歳から16.7歳)。半夏白朮天麻湯は起立性調節障害に起因する典型的症状である、頭痛、立ちくらみ、腹痛に対して処方され、半夏厚朴湯は不安傾向があり、胸痛、めまい、不登校を呈した症例だった。3例は完全緩解となり、治療を中止することができた。4例は症状軽快し、再開した学校生活には適応できていた。【考察】起立性調節障害は、思春期にみられるcommon diseaseであり、以前から対応が必要な症例が多く存在した。COVID-19流行後の特異な社会情勢に伴い、その罹患数が増加し難治化している印象がある。多くは標準治療で軽快しているが、以前は心理社会的要因が主だった難治化の原因であったが、COVID-19流行が直接の要因となり、あるいは在宅での学習が心理社会的要因を助長しているのかもしれない。今回、漢方治療が必要となった症例について、更に要因を検討して報告する。【結論】起立性調節障害に対して漢方治療が必要となった症例は、生じている問題に合致した薬剤選択をすることで症状軽快する。