[I-P01-3-03] 小児期発症の高安動脈炎の妊娠経過について
キーワード:高安動脈炎, 周産期, 心不全
【緒言】 高安動脈炎は合併する動脈狭窄や高血圧により長期的に心負担がかかる。今回、小児期発症高安動脈炎患者の2回の妊娠出産を経験したので、妊娠中・出産後の心負担の経過について報告する。【症例】 26歳、女性。小児期より高安動脈炎と診断され、腹部大動脈の重度区域性狭窄、上腸間膜動脈の狭窄、左腎動脈狭窄を指摘されていたが、腹部側副血管の発達により無治療経過観察されていた。24歳時に自然妊娠成立。妊娠27週にBNP 41.3pg/mLと上昇認め、29週で左室駆出率 53.5%と低下を認めたため、妊娠38週4日 無痛分娩で出産となった。出産直前の心胸郭比は54.5%と増大し、胸水を認めたことから、出産後から産後3ヶ月まで利尿剤内服を行った。26歳時に再度自然妊娠成立。左室駆出率は軽度低下するも60%前後と保たれていた。37週時点でBNP 46.2pg/mLと上昇、左胸水を認めたため、妊娠38週4日 無痛分娩で出産となった。出産後も左室駆出率はある程度保たれていたことから利尿剤内服せずに経過観察した。いずれの経過においても高血圧は認めず、また心機能は出産後数ヶ月から半年で軽快した。【考察】 高安動脈炎は基本的には通常の妊娠出産が可能といわれている。しかし、小児期発症例では長期の心負担の影響から、症状がなくても検査データの悪化を認める場合があり、妊娠出産において計画的コントロールが必要と考える。