The 59th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

一般心臓病学

ポスター発表(I-P01-3)
一般心臓病学1

Thu. Jul 6, 2023 10:10 AM - 10:50 AM ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:中川 直美(広島市立広島市民病院 循環器小児科)

[I-P01-3-04] 妊娠全期間を通してアンチトロンビン製剤の補充を必要としたフォンタン術後妊娠

浦山 耕太郎1, 田原 昌博2, 大崎 薫1, 森田 理沙1 (1.あかね会土谷総合病院 小児科, 2.広島中央通りこどもクリニック)

Keywords:フォンタン, 妊娠, 凝固能

【背景】一般的に妊娠時、凝固因子は増加するが、抗凝固活性をもつアンチトロンビンⅢ(AT3)は上昇しないため、抗凝固作用は低下する。一方、フォンタン術後は過凝固状態にあり、術後合併症の1つが血栓症である。妊娠全期間を通して大量のアンチトロンビン製剤の補充を行い、合併症なく出産に至った1例を経験した。【症例】31歳、未経産。生後、三尖弁閉鎖(Ⅰb)、肺動脈狭窄と診断され、生後2か月で左original BTシャント術、生後4か月で右modified BTシャント術、1歳でcentral シャント術、5歳でTCPC(atrial roll)を施行した。28歳時に肝機能障害およびエコーで結節性病変を認め、FALDと診断。29歳時に静脈シャントに対してコイル塞栓術(中心静脈圧10mmHg)。その後内服コンプライアンスは不良であり、NYHA2度、SpO2:92%程度で経過した。31歳で妊娠成立。妊娠12週時に、凝固能亢進を認め、入院管理開始。胎盤所見異常なく、ヘパリンカルシウム投与、アンチトロンビン(AT)製剤補充、アスピリンを開始。以後AT3>70%を目標に3日毎にAT製剤を補充。検索しうる範囲で血栓症を合併することなく経過。妊娠34週時に計画的帝王切開を施行した。児は出生体重1546g(-1.7SD)であり、明らかな先天異常は認めなかった。妊娠中に認めた凝固異常は、産褥期に正常化した。胎盤病理では絨毛膜に梗塞を示唆する局所的な凝固壊死像を認めた。【考察】フォンタン術後妊娠において、血栓塞栓症は比較的頻度の高い合併症とされている一方で、ヘパリン化と流産の関係を指摘する報告もある。本症例は妊娠初期より著明な過凝固状態であり、AT製剤の数日毎の補充を必要とした。妊娠前よりFALDを認めているため、肝臓におけるAT産生能の低下が妊娠により顕在化した可能性が示唆された。【結語】FALDを合併した妊娠症例はAT3低下による過凝固状態に注意する必要がある。