第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

その他外科手術

ポスター発表(I-P01-4)
その他外科手術

2023年7月6日(木) 10:10 〜 11:00 ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:津村 早苗(大阪母子医療センター 心臓血管外科)

[I-P01-4-02] Complex forms of TGA with VSD・severe PSに対する Aortic root translocationによる修復術を施行した3例

小澤 秀登1, 荒木 幹太1, 竹原 貴之1, 川崎 有希2, 藤野 光洋2, 佐々木 赳2, 中村 香絵2, 江原 英治2, 鍵崎 康治1 (1.大阪市立総合医療センター 小児医療センター 小児心臓血管外科, 2.大阪市立総合医療センター 小児医療センター 小児循環器内科)

キーワード:TGA(III), Aortic root translocation, double switch

背景: complex forms of TGA with VSD and PSに対するaortic root translocation(ART)は, 大きな心室容積は不要でsmoothで広い流出路の形成が可能である.今回、d-TGA, VSD, PSの2例にARTによる再建を施行し,AVD, DORV, l-MGA, PSの1例に,atrial switch (Senning)+ARTによるdouble switch手術を施行したので報告する.手術方法: Aortic rootから両側冠動脈のcuffを切離後,aortic rootを右室流出路から採取した.肺動脈弁輪からoutlet septumをVSDにむけて切開,ePTFE patchにより新たな左室流出路を形成した.LeCompte maneuver後に,180度回転させたaortic autograftを左室流出路に吻合し,冠動脈を再移植した.右室流出路はウシ頸静脈弁にて再建した.AVDの症例ではatrial switch operation (Senning) を併せて施行した.症例:d-TGA, VSD, PS:①年齢:1歳2ヶ月,体重:6.6kg、mBTS後,LVEDV:84% of normal,RVEDV:144%,肺動脈弁輪径(PAV):78%,②1歳2ヶ月,7.9kg,mBTS後,LVEDV:134%,RVEDV:142%,PAV: 59%の2例.またAVD, DORVの症例は,③11ヶ月,7.5kg,PA banding後,LV:138%,RV:140%,PAV: 61%の1例であった.結果:手術時間は①8時間15分,②10時間9分,③15時間37分,大動脈遮断時間は①234分,②245分,③411分.ICU滞在日数は①10日,②13日,③39日であった.全例,外来通院中で経過観察期間は①2年2ヶ月,②3ヶ月,③7ヶ月.術後心室機能は良好で,房室blockなし.左室流出路及び右室流出路の狭窄を認めず.房室弁及び大動脈弁の機能障害を認めていない.また,①は術後1年2ヶ月でカテーテル検査を実施.両心室機能は良好であり,LVEDV:133%,RVEDV:111%,左室流出路圧較差:2mmHg,右室流出路圧較差:5mmHgであり流出路狭窄及び弁機能障害は認めなかった.結論: aortic root translocationによる左室および右室流出路形成は,解剖学的に正常に近い心室-大動脈間のalignの形成が可能であり,良好な遠隔成績が見込まれる有用な術式と考えられる.