[I-P01-4-03] 修正大血管転位症に対する解剖学的修復術の当院における臨床経過の検討
Keywords:修正大血管転位症, 解剖学的修復術, 臨床経過
【背景】修正大血管転位症(congenitally corrected transposition of the great arteries:ccTGA)は全先天性心疾患の0.05%と非常に稀な疾患である。合併心奇形により病態や治療方針は多岐にわたり, 手術治療の選択肢としては機能的修復術,解剖学的修復術, Fontan手術等が挙げられる。【目的】今回当院でccTGAに対して解剖学的修復術を行われた症例を検討し、修正大血管転位症の治療方針について検討した。【方法】2004年1月以降に当院で経過観察中のccTGA91例について、予後や診断時期、合併症、再手術率、臨床経過について診療録から後方視的に検討した。【結果】症例の内訳は未治療経過観察:36例、機能的修復術:26例、解剖学的修復術:13例、TCPC:14例。解剖学的修復術を行われた症例の診断時期は胎児診断1例、生後7例、1か月4例、1歳1例。Rastelli+Senning:3例、Rastelli+Mustard:3例、Jatene+Senning:6例、Jatene+Mustard1例。Rastelli型の症例は5例でreRastelli、1例でREV手術を行われていた。Jatene型の症例では再手術症例はみられなかった。Jatene型では1例がEbstein病も合併しており死亡、Rastelli型では1例が縦隔炎・sepsisのため死亡していた。CAVBはJatene型で7例中1例、Rastelli型で6例中5例であった。【考察】Jatene型の手術を施行できた症例は合併症が少なく、予後が良いと考えられた。Rastelli型の症例では右室流出路狭窄が生じ全例で再手術となっていた。また、再手術に伴い1例は感染症を契機に無くなっていた。右室機能に関してはJatene型と比較してRastelli型で低下がみられており、右室流出路狭窄による右室負荷が影響していると考えられた。【結語】小児期に診断されたccTGAではJatene型での修復を行う方が不整脈の割合が少なく、再手術回避率が高いと考えられた。Rastelli型の解剖学的修復術は右室機能低下・CAVBの割合が高く、個々の症例で機能的修復術も考慮する必要があると考えられた。