[I-P01-4-05] 出生時に著明な右室低形成を認めたが二心室循環を確立した3症例
Keywords:右室低形成, 二心室修復, 右室拡張期容量
出生時に右室低形成を呈する患児における二心室修復(BVR)の可否について右室拡張期容量(RVEDV)、三尖弁輪径(TVD)、心内構造などをもとに評価されている。今回、当院で経験した出生時に著明な右室低形成を認めたがBVRに到達した3症例をまとめ、BVRが可能な条件ついて検討、考察した。【症例1】VSD、ASD、右室低形成(hypoRV)。生後2か月のカテーテル検査でRVEDVは40.3% of Normal(%ofN)、TVDはz=-1.0。無治療経過観察を経て2歳3か月のカテーテル検査でRVEDVが85.1%ofNと成長がみられ、2歳8か月でASDとVSDの閉鎖術施行。以降は運動制限なく経過している。【症例2】Critical PS、hypoRV。日齢8のカテーテル検査でRVEDVは23%ofN、TVDはz=-3.0。生後1か月でBTシャント術施行。1歳1か月より経皮的肺動脈弁形成術を繰り返して右室の成長を促した。3歳9か月でBTシャント閉鎖。5歳2か月でのカテーテル検査でRVEDV 67%ofN。運動制限はあるが投薬なく経過している。【症例3】Isolated hypoRV、ASD。出生後にチアノーゼがあり当院へ搬送。酸素投与で状態が安定したため右室の成長を待つ方針とした。1歳0か月のカテーテル検査でRVEDV 59.5%ofN、TVDz=-1.6。1歳3か月で4mmのfenestrationを置いてASDを閉鎖。2歳4か月のカテーテル検査でRVEDVは64.1%ofNであった。右室低形成におけるBVRの適応については、様々なパラメータが示されてきた。当院での症例ではRVEDVはBVRの適応外と考える大きさであったが、右室構造はTripartileであり、TVDはz valueで-3~-1と小さくはなかった。これらの要素がそろっていれば、計画的なフォローアップと適切な時期の治療介入により著明な右室低形成であってもBVRの可能性はあると考えられた。