[I-P01-4-07] 器質的気道狭窄を合併した先天性心疾患に対する治療戦略
キーワード:気道狭窄を合併した先天性心疾患, 器質的気道病変, 治療戦略
【目的】器質的気道狭窄を合併した先天性心疾患(CHD)に対する治療戦略について検討した。【方法】2017-2022年に当院で外科治療介入を行ったCHDで、器質的気道病変を伴った6例(8手術)を対象とし、軟化症のみの症例は除外した。診断契機/局在/対処方法/周術期経過を後方視的に検討した。【結果】診断は単心室1例(asplenia) 2手術(TAPVC repair, bil.BDG + CAVVP)、二心室5例(VSD 2, TOF/PS1, TOF/APVS 1, CoA/VSD 1) 6手術(PAB, VSD cl., PAP+BTS, central shunt, Rastelli, CoA repair)。手術時日齢92(10-192)日、体重3.7±0.7kg。気道病変は、喉頭蓋形成異常1, 先天性気管軟骨輪2, 両側気管気管支1, 左主気管支狭窄/閉塞2例。診断時期(手段)は術前4(CT3, BF1), 麻酔導入時2(挿管時異常所見→BF)。外科治療方針に影響したのは3例(4手術):1) 麻酔導入時に先天性気管軟骨輪が判明したTOF/PS(BW3.1kg): BCAをinflowとするPAP+BTS予定を、術後BCA拡大からの気管圧排を懸念しcentral shunt (aAo-mPA trunk)へ変更した(後方視的に術前CTを確認すると疑わしい所見あり).2) 術前CTで左主気管支閉塞+左無気肺/肺低形成が疑われたCoA/VSD(BW4kg)はarch repair時に積極的に小弯側にパッチ補填を行った。3) APVS/TOF (BW3.4kg)は予測された肺動脈拡大による気道狭窄のリスクを念頭にcentral shunt+mPA ligation→Rastelli + PA縫縮を施行。周術期死亡なし。観察期間203±74日。挿管時間 193(25-1489)時間(再挿管2)。ICU滞在18 (10-53)日。在院日数 65 (31-227)日 (未退院1)。2例で在宅ハイフローセラピーを導入した。【結論】器質的気道狭窄を合併した先天性心疾患では、比較的長期にわたる呼吸補助やICU滞在/在院日数を要したが、死亡例はなく、当院の治療方針は妥当であったと考えられる。麻酔導入時に病変に気づかれることもあり、器質的気道病変も念頭においた術前データの確認が望ましいと考えられる。