[I-P01-5-05] Avalon Elite® が有用であった小児V-V ECMOの3例
Keywords:ECMO, 循環補助, Avalon
【背景】Avalon Elite®はV-V ECMO用のダブルルーメン送脱血カニュラで、本邦では2018年3月に保険適応承認された。幅広いサイズ展開を有し新生児から成人まで対応可能である。当施設で経験した3例の小児症例について報告する。【症例1】月齢6 (8.1kg、BSA0.37m2) 男児。特発性乳頭筋断裂に対し緊急手術を施行。心原性肺水腫による広範囲の高度無気肺のため人工心肺離脱困難でありcentral V-V ECMO導入下に開胸のまま手術終了。術後TBTを繰り返すも呼吸機能の改善は緩徐であり、術後2日目にAvalon (16Fr)によるV-V ECMOへ転換。以後理学療法の強化により、術後5日目にECMO離脱。【症例2】6歳 (14.5kg、BSA0.62m2) 男児。悪性Rhabdoid腫瘍を原疾患とする放射線性肺臓炎で当院転院となり肺移植申請の承認を得たが、待機中に呼吸不全が進行。安全な待機と肺移植施設への移送のために、移植スケジュールに合わせてAvalon (19 Fr)によるV-V ECMOを確立。安定した全身管理が可能となり安全に肺移植施設に搬送された。【症例3】7歳 (23.0kg、BSA0.92m2) 女児。劇症型心筋炎に対し経皮V-A ECMO下に当院搬送となった。高度の心原性肺水腫を呈しており搬送同日にcentral V-A ECMO+LV脱血へシステム変更を要した。心機能は経時的に改善が得られたものの、心原性肺水腫による広範囲の高度無気肺が残存し8病日にcentral V-V ECMOへ転換。TBTや気管支鏡による吸痰を繰り返すも効果は限定的であり、14病日にAvalon (19Fr)によるV-V ECMOへ転換。理学療法の強化と伏臥位を含めた体位ドレナージにより、20病日にECMO離脱。【結語】Avalon Elite® は右頚部からの経皮的穿刺により留置可能で、構造上re-circulationが少ないことや鎮静レベルを下げた管理が可能であることが利点として挙げられる。その適用には、長所と短所を考慮した慎重な検討が必要であるが、 小児V-V ECMO確立の有用な選択肢の1つであると考えられる。