[I-P01-5-07] 小児重症心不全例に対するcentral YY-ECMOを用いた両心補助循環の有用性
キーワード:MCS (mechanical circulatory support), ECMO (extracorporeal membrane oxygenation), Resuscitation
【目的】心肺蘇生後の小児重症心不全例に対し,central YY-ECMOを用いた両心補助循環を施行したので報告する. 【症例】症例は10歳,35kgの生来健康な男児.自転車競技練習中に胸痛を自覚,意識障害が出現し家族により救急要請.前医到着後12分で心室細動となり心肺蘇生開始,一旦自己心拍再開. 本人含め家族内複数人に感冒症状あり,左心室収縮率 20%のため劇症型心筋炎疑いで当院に搬送依頼.搬送前に無脈性電気活動となり挿管,大動脈内バルーンパンピング,経皮的心肺補助装置(PCPS)挿入のうえ当院に転院搬送.著明な肺うっ血を認め,心臓超音波検査にて左室心筋浮腫が著明で左室内腔が乏しかったことから,右房・左房脱血,上行大動脈送血のcentral ECMO(体外式膜型人工肺)にconversion.術後3日,左室内血栓を疑う心臓超音波所見を認め, 左室心筋浮腫も軽減していたため左房脱血から左室心尖部脱血に変更することにし,左室脱血量を維持するため肺動脈送血も追加する方針とした.右房・左室脱血,肺動脈・上行大動脈送血を一つのECMO装置で行うY脱血およびY送血のシステム(central YY-ECMO)とし,sternal splintageで帰室.各送脱血流量モニター下に上行大動脈送血と肺動脈送血は流量が2:1程度になるように肺動脈側をpartial clampしつつ,上行大動脈送血は灌流指数 2.2L/min./m2以上で,肺動脈送血は左室脱血最低量(1.5-2.0L/min.)を担保しつつ平均肺動脈圧を25mmHg以下で管理.術後7日,除水が進み肺高血圧も軽減され,右心補助を外し左心補助システム(LVAS)へconversion.現在LVAS管理下で心臓移植適応審査待機中である. 【結論】心肺蘇生後の両心不全小児例に対し,central YY-ECMOを用いた両心補助循環を行うことで管理も容易になり,早期に右心補助を離脱することができた.