[I-P01-5-08] 3Dプリントによる術前シミュレーションを行った大動脈肺動脈窓、大動脈離断の修復術
Keywords:3D printing, surgical simulation, interrputed aortic arch
【背景】3Dプリントは近年手術シミュレーションで活用されている。大動脈肺動脈開窓(APW)+大動脈離断(IAA)合併例の心内修復に際し、3Dプリントを用いたシミュレーションを行った1例につき報告する。【症例】2か月男児、体重4.5g。胎児診断症例、IAA+APWであり3生日に両側肺動脈絞扼施行後。心内修復術前シミュレーションのためCT(64列、GE社)画像をもとに作成したボリュームメッシュを作成、(Materialize 3-matic, Materialize, Belgium)3Dプリンタで模型を作成した。材質は軟質のポリビニルアルコール(PVA)を選択し、壁厚1mmの中空モデルを作成した。APW分離に伴うAo組織欠損は11×12mmと推定し、mPA前壁をflap状に切り出してこれを反転させAo欠損を形成する方針とした。【手術】右腕頭送血・上下大静脈脱血で心肺確立。心停止下、mPA前壁は術前シミュレーションに準じてU字に切開し、Ao-PA壁へ切開線を延長し分離した。直腸温28℃で片側脳灌流循環停止。Ao背側の切開線を弓部へ延長し下行大動脈を吻合。欠損部近位側はPA壁をflapとして縫着することを意図したがフィットせず、遊離パッチとした。PAは新鮮自己心膜で修復した。脳分離体外循環時間69分、心停止時間104分であった。術後は上下肢圧格差なく経過。一期的に閉胸し4病日に抜管、術後28日に自宅退院となった。術後6か月での心臓カテーテル検査では右PA軽度狭窄をのぞき狭窄を認めなかった。【考察】3Dプリントを用いたシミュレーションはAPW+IAA修復において、欠損部の大きさ、補填を血流下の形態で評価可能なことは利点と考えられた。一方で組織とPVAの柔軟性の違いから切離時の形態変化を十分には予想しがたいことは問題点があると思われた。