[I-P02-1-01] 小児の急性および劇症型心筋炎の予後に関与するリスク因子
キーワード:急性心筋炎, 劇症型心筋炎, 不整脈
【背景】小児の急性および劇症型心筋炎は致死的疾患であるが、発症頻度は稀であり、治療や予後に関する報告は少ない。小児例の特徴は、劇症型が多いことや心室性不整脈で発症することが多いことが挙げられ、より早期の診断が必要となる。しかし、小児心筋炎における予後に関与するリスク因子については十分検討されていない。【目的】小児期に発症した急性および劇症型心筋炎の予後に関与するリスク因子を検討した。【方法】2007年から2021年で当院にて治療を行った急性および劇症型心筋炎の小児11例(中央値年齢 11か月(日齢13-14歳9か月)、性別 男女比 7:4)を対象とし、adverse events(AE)は心臓死または心後遺症とした。AEの有無で2群に分け、患者背景および臨床経過などを比較した。【結果】劇症型は4例(36%)で残り7例(63%)は急性心筋炎であった。AEは55%の6例(死亡3例、心臓後遺症3例)であった。診断時に頻拍性または徐拍性不整脈(心室細動、心房頻拍、房室ブロックなど)を認めたのは7例(64%)で、残りの4例は心不全症状のみで発症していた。不整脈を認めた4例(36%)で補助循環を使用され、すべて劇症型であり全例生存していた。AEありの症例はAEなしの症例に比して、年齢(中央値6歳 vs 4か月, p=0.05)、BNP(中央値1690pg/ml vs 604pg/ml, p=0.40)、トロポニン-I(中央値1.22ng/ml vs 0.27ng/ml, p=0.79)、発症から診断までの時間(中央値 48時間 vs 6時間, p=0.48)、来院から診断までの時間(中央値 2.5時間 vs 2時間, p=0.64)には有意差はなかったが、診断時に不整脈がない症例が多い傾向があった(66% vs 0%, p=0.06)。生存例で経過観察中に不整脈が残存または再発した症例はなかった。【結語】急性および劇症型心筋炎において、疾患重症度、診断までの時間や補助循環の有無は予後とは関連はなく、心不全症状のみで発症する症例に比べ不整脈で発症する症例ほどAEが少なかった。