[I-P02-1-05] Cantrell症候群に伴う胸腹壁欠損により心臓脱出を認めた症例
Keywords:Cantrell症候群, 心臓脱, 胸腹壁欠損
【背景】Cantrell症候群は上腹部正中腹壁異常、胸骨下部欠損、横隔膜前方部欠損、横隔膜部心膜欠損、心奇形を五徴とする稀な疾患であり、循環呼吸管理含めた治療方針決定に苦慮することが多い。【症例】在胎16週、近医での胎児エコーで心臓脱を指摘され当院へ紹介となった。当院での胎児心エコーで、心室部分の半分が胸腔外に脱出しているとともに心室中隔欠損を認めた。流出路含めた大血管異常については心臓位置異常により詳細な診断は困難であった。在胎37週6日、帝王切開で出生。出生時の第一啼泣は認め、Apgar score 8/8点、出生時体重 2334gであった。心臓は羊膜で覆われており、乾燥予防のためワセリン塗布清潔ガーゼで被覆した後に、鎮静・挿管管理とした。出生後の心エコー、造影CTにより両大血管右室起始、心房中隔欠損、左室低形成、肺動脈弁下狭窄、主肺動脈・右肺動脈低形成、孤立性左肺動脈、主要体肺側副血管と診断した。カラヤヘッシブで心臓の周りを覆ってサイロを作製し自然還納を試みるも困難であり、CT画像から還納による大動脈や上下大静脈の圧迫の可能性が極めて高く、心臓脱のまま皮弁形成の方針となった。幸い肺動脈弁下狭窄などで肺血流は制限されており心臓については外科的介入なく暫く内科的治療のみで対応可能と考えている。【考察】心臓脱は自然還納を目指す必要があるが、脱出の程度から困難な症例も多く存在する。循環動態悪化を認めなくても無理な還納後遠隔期の突然死報告が散見される。【結論】Cantrell症候群などによる心臓脱は心臓還納のため胸郭成長を待つ必要がある。数年〜十数年単位での長期的計画が必要な症例もあり、本症例の計画についても共有し議論したい。