[I-P02-2-01] 退院前および退院後訪問指導を活用し在宅医療に移行した僧帽弁閉鎖、心室中隔欠損合併18トリソミーの1例
Keywords:18トリソミー, 在宅医療, 退院前後訪問指導
【緒言】18トリソミーに合併する先天性心疾患の治療は手術治療を含めて考慮されるようになり、近年は在宅医療に移行する患者が増加している。当院では在宅医療への移行を円滑にするために退院前および退院後訪問指導制度を活用している。今回この制度を利用し在宅医療に移行した18トリソミー患者を経験したので報告する。【症例】4カ月、女児。在胎29週に胎児発育遅延、小脳虫部低形成、心室中隔欠損を認め、羊水染色体検査にて18トリソミーと診断された。在胎38週、出生体重1982gで出生。アプガースコア3点(1分)、6点(5分)であった。心臓超音波検査で僧帽弁閉鎖、心室中隔欠損、左室低形成、動脈管開存を認めた。手術治療の選択肢も含め18 トリソミー患者の手術経験が豊富な施設に相談し、ご家族との話し合いを経て動脈管維持のための薬剤投与および手術治療は行わない方針とした。呼吸障害に対しては経鼻的持続陽圧呼吸を継続し、動脈管から体循環への血流維持のために酸素投与は極力控え、高二酸化炭素血症を許容した。生後1カ月を経ても動脈管は閉鎖せず、ご家族との話し合いを経て在宅療養を目指すことで合意した。生後4カ月時に小児病棟に転棟し、ご家族の付き添いによる在宅管理トレーニングを経て退院した。退院前に1回、退院後に2回当院の看護師が訪問看護師に同行し訪問指導を行った。訪問指導の際には患者および家族の状態、ベッド、注入ポンプ、呼吸器補助機器の配置などを確認し意見交換した上で助言を行った。【考察と結語】本症例では酸素投与を極力控え、高二酸化炭素血症を許容する管理が動脈管から体循環への血流維持に寄与した可能性がある。重篤な疾患を持つ患者の在宅医療への移行においては、急性期医療を担当する医療者が在宅医療を担当する医療者とともに家庭での患者および家族の状態や療育環境を確認し意見交換することで、より円滑に在宅医療に移行できる可能性がある。