[I-P02-2-05] 18トリソミーに対する積極的外科治療介入が生命予後に及ぼす影響
Keywords:18トリソミー, 心臓手術, 生命予後
18トリソミーに対する積極的外科治療介入が生命予後に及ぼす影響獨協医科大学 小児科学菅原 沙織、柳沼 美穂、石井 純平、有賀 信一郎、國分 文香、関根 佳織、宮本 健志坪井 龍夫、鈴村 宏、吉原 重美【はじめに】18トリソミーに対する外科治療介入、とくに心臓手術においては未だ明確なコンセンサスはない。【目的】我々は当院で経験した18トリソミー児を対象に、積極的な治療介入により生命予後が改善するかを検討した。【対象および方法】1986年から2022年に当院に入院歴のある18トリソミー60例を対象とした。積極的外科治療介入が選択肢となった2007年前後を2群に分類し(前:A群、後:B群)、後方視的に検討した。【結果】外科治療介入は、A群30例中4例(胃瘻造設)、B群30例中13例(心臓手術5例、消化管手術7例、髄膜瘤手術3例)に行われた。各群の生存期間は、1ヶ月未満がA群12例、B群6例、1ヶ月以上1年未満がA群16例、B群15例、1年以上がA群2例、B群9例であった。Kaplan-Meierの生存曲線ではB群で有意に生存率が高かった。(p=0.002)自宅退院は両群とも3例であった。心臓手術はB群の5例で、非心臓手術と比較し生存率に有意差はなかった。【考察】積極的外科治療が選択肢となった2007年以降の1年生存例は有意に増加したが、自宅退院できた症例は増加しなかった。合併症が軽症な症例に心臓手術を行うことで生命予後が改善し、在宅への移行が期待できた。一方で術前の人工呼吸管理が必要な症例や、食道閉鎖症などの重症な合併症例に対しては、治療適応や治療介入を慎重に判断する必要があった。【結論】児のQOLを向上させるために外科治療をどうのように選択するか今後も検討が必要である。