[I-P02-3-05] 移行医療と心臓手帳・しんぞう手帳
Keywords:移行医療, 心臓手帳, しんぞう手帳
【はじめに】移行医療の重要性は徐々に認識され、必要度も高まっているが具体的な方策については試行錯誤の部分が多い。多くの重症疾患も生後早期に修復術を受け、就学時には無投薬となっている例も多く、「根治」とされている例も多い。通院していない例も見られる。自身の病名や手術・治療について知ることは移行医療や成人期の適切な管理の重要なポイントであるが、病名や治療内容の情報の他、重症疾患であっても遠隔期後遺症についての配慮・情報共有の不充分な事例に遭遇する。【心臓手帳・しんぞう手帳の現状】従来の心臓手帳(学校保健会発行)は現在大半の術後患者/家族が知らない・所有していない、学校関係者、医療関係者でも知らない状況があり、2015年患者/家族団体(全国心臓病の子どもを守る会)を中心に関係学会協力のもと「しんぞう手帳」が作成された。しかしながら、患者/家族や関係者の情報取得は極めて限定的で、昨今のスマホなどの普及や過剰な個人情報意識もあり、それらの認知・普及・活用は十分とは言えない。当施設では当初より、小児期だけでなく、移行期・成人期を通じての手帳の役割について着目し、入院時・外来受診時などに紹介・普及に着手し、看護職を中心に普及・活用・移行医療への応用の試みも行い、昨年の本学会や会報などを通じて、現状や展望について報告してきた。さらに成人先天性心疾患外来でもその意義を再確認する機会にしばしば遭遇し、成人期の患者さんへの普及も行っている。患者の意識づけや各種院外活動時、他疾患での医療機関受診時などでも有用である。それらの経験から普及・活用の端緒として初回治療に関わる医療者(特に小児科医・心臓外科医)の役割は大きく、医療者間での「心臓手帳」「しんぞう手帳」の情報共有が重要と考える。【まとめ】「心臓手帳」「しんぞう手帳」の普及・ 活用は先天性心疾患に対する移行期医療・成人期医療に有用である。